そんな生活を続け、早一週間。俺も少しずつだが慣れてきた。 粗末な食べ物も、娯楽のなさも、寒さも、畳の上で雑魚寝する苦しさも、全部慣れてしまった。我ながら異様に速いペースだと思う。 それに比例して不思議なことに、家に帰りたいという意識が湧いてこなくなった。 もっとホームシックになると思っていた。帰りたいと、あの世界がいいと、でも違った。あまりにも過酷すぎる空間に人が長時間いると、そういう夢や希望は次第に薄れてきて、目の前の出来事を処理するだけで脳が限界を迎えるのだった。 それはあまりに喉が渇くとジュースではなく何の味もない水の方を欲しがるのに近い。 もし俺がいる世界が普通の別世界で、衣食住も満足だったなら、逆に家が恋しくなったかもしれない。 あまり知りたくなかったけど、こんなこと。 そして問題は他にもある。 「面木はどうした?」 畑仕事をしているのは例によって四人。面木と花香が桑を手にしたことは一度もなかった。 いずみがざっくざっくと大地を耕しながらつまらなそうに言う。 「またサボってるんじゃない?」 誰もが無関心だった。そう、ここに来てもう一つ知った。 みんな、どこか無関心だった。唯一積極的なのは墓川だけで、いずみも由那も、あまり他の人間に干渉してこない。 と、面木が腕に花香を抱かせながらのっしのっしと箱船に戻ってきた。 それを見かけた墓川が駆ける。 「あいつ……いい加減にしないか! 面木っ!」 「あんだよ」 面木が足を止め、ギロリと墓川をねめつける。気づく。彼の手には水筒があった。それを口に含んでいた。あれは―― 「面木! 貴様水を飲んだのか!」 「だからなんだよ。あ?」 「この水はやっとの思いで見つけた源泉から汲んできた貴重なものだといつも言っているだろう! 勝手に飲むことは許さん! ん、腕についた粉……まさかスナック! 面木! これを食べたのかっ!」 墓川が激昂する。無理もない。俺たちは数日この世界で暮らすわけじゃない。一生暮らしていかなければならないのだ。缶詰や水、スナック
آخر تحديث : 2026-08-26 اقرأ المزيد