苦しげに押し殺しながらも、抑えきれない熱を孕んだ声。 聞こえてきたのは、あの知らない女の名前。 そして――千温がこれまでどれほど望んでも、一度として自分には向けてもらえなかった言葉だった。「はっ……千鶴……愛してる……」 体内へ注ぎ込まれた優和の熱を感じた瞬間、千温は頭から冷水を浴びせられたような気がした。 目眩がするほど混乱しているはずなのに、意識だけは異様なほど冴えきっている。 千鶴――。 今度こそ、その名前をはっきりと聞いた。 聞き間違いではない。 以前の優和は、どれほど我を忘れて夢中になっていても、千温の名前を間違えることなど一度もなかった。 それなのに、なぜかここ数日の間に、もう何度も別の女の名前を呼んでいる。 しかも今夜は、その名前に続けて「愛してる」とまで口にした。 言いようのない恐怖が、じわじわと千温の胸いっぱいに広がっていった。 何かを考えなければならないのに、何から考えればいいのか分からない。 千鶴とは誰なのか。 どうして優和が、その人の名前を呼ぶのか。 そして、どうして自分には一度も言ってくれたことのない言葉を、その人にはあんなにも熱の籠もった声で口にするのか。 考えようとするほど、胸の奥が苦しくなる。 心臓を強く握り潰されているようで、息さえまともにできなくなりそうだった。 そんな千温の動揺など、優和はまるで気づいていない。 ほんの一瞬だけ千温の中から身体を離すと、小さく笑いながら彼女を下ろした。それでもまだ満足できないのか、すぐに千温を壁へ押しつけ、唇や首筋へ貪るように口づけていく。 千温はいつものように優和へ応えることができなかった。 ただ呆然と目の前の男を見つめている。 つい先ほどまで、優和に喜んでもらえていることが嬉しかった。 その同じ唇から零れ落ちた「千鶴」と「愛してる」という言葉だけが、今も頭の中で何度も繰り返されている。「何を考えてる? 俺に抱かれている最中に、よそ見する余裕があるのか?」 自分を見つめたまま固まっている千温の様子が気に入らなかったのか、優和はその下唇へ強く噛みついた。「っ……」 痛みに千温が顔を歪める。 それを見て、優和はようやく少し満足したように目を細めたものの、すぐに不満げな声で問い詰めた。「まだ足りなかったのか? 満足するまで抱いてやらなかっ
Zuletzt aktualisiert : 2026-09-06 Mehr lesen