身代わりの私には、もう「愛してる」なんて信じられない

身代わりの私には、もう「愛してる」なんて信じられない

last updateÚltima actualización : 2026-10-10
Por:  るるねActualizado ahora
Idioma: Japanese
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宮長優和には、どうしても忘れられない女性がいた。 手に入らない彼女の代わりに選んだのは、よく似た顔を持つ小北千温。 ただの身代わり。少し遊ぶだけのつもりだった。 ――なのに、騙していたはずの優和自身が、いつしか本気で千温を愛してしまう。 一方、彼だけは自分を愛してくれていると信じていた千温は、ある日、自分が「身代わり」にすぎなかったことを知る。 「もう、あなたの『愛してる』なんて信じられない」 彼がようやく本当の恋に気づいたとき、彼女の恋は終わろうとしていた。

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Capítulo 1

第1話

 小北千温こきたちはるは、少し鈍いところがある。

 幼い頃から今まで、周囲から最もよく言われてきたのがその言葉で、二番目に多かったのは「頭が悪い」だった。

「前にも言ったはずだ。俺は、お前に外で働いてほしくない。上場企業の社長である俺が、お前一人養えないとでも思っているのか? それとも、わざわざ外へ働きに出て、俺に恥をかかせるつもりか。」

 明るい照明の下、千温は俯いたままソファの前に立ち、険しい表情を浮かべた男から浴びせられる叱責を黙って受け止めていた。

 宮長優和みやながゆうわは目の前の女を鋭く見据える。自分では決して短気な性格ではないと思っていた。

だが、何度言い聞かせても少しも言うことを聞かない千温を前にすると、さすがに苛立ちを抑えきれない。

 千温をこの家へ迎え入れた初日から、生活に必要な金はすべて自分が負担し、金銭面で不自由な思いは一切させない――そう優和ははっきり伝えていた。

 彼が求めたのは、千温が従順に言うことを聞き、大人しく自分のそばにいること――それだけだった。

 それなのに千温は、これといった取り柄もなく、頭の回転も鈍い。まともな仕事を見つけられないだけならまだしも、よりによって飲食店の厨房で働き、服にも身体にも油と料理の臭いを染みつかせて帰ってくる。

 その姿を見るたび、優和の胸には苛立ちがじわりと込み上げた。

 優和が欲しかったのは、美しく飾っておける花瓶のような存在だった。

 彼が千温に惹かれたのも、その美しい顔だけ。

「どうしてお前は、いつも俺の言うことを聞かないんだ? 俺の言っていることが、まだ理解できないのか?」

「でも……私も、何もしないまま養ってもらうのは嫌で……。優和がお金を稼ぐのだって、大変だと思ったから……」

 言葉を紡ぐたび、千温の声は少しずつ小さくなっていく。

 自分が隠れて働きに出たせいで優和を怒らせてしまったことは、千温にも分かっていた。この家へ来たあの日、大人しく言うことを聞く籠の鳥になると約束したのも、ほかならぬ自分だ。

 それでも以前、顔見知りから「何もしないで男に食べさせてもらっているだけ」と陰口を叩かれたことが、ずっと胸の奥に引っかかって離れなかった。

 自分の評判が悪くなれば、優和にまで迷惑をかけてしまうかもしれない。

 そう思った千温は、誰にも知られないよう密かに働き、自分の生活費くらいは自分で稼ごうとした。ただ養われているだけの役立たずだと、誰にも思われたくなかったのだ。

 数日前に浴びせられた悪意ある言葉が脳裏をよぎった途端、千温の美しい瞳には、たちまち涙が滲んでいく。

 白い肌と人目を引く整った顔立ちに恵まれている一方で、ひどく鈍く要領の悪い千温は、昔から人に騙されやすかった。

 意地悪をされても反抗しようという考えすら浮かばず、「自分の何が悪かったのだろう」と、誰よりも先に自分自身を責めてしまう。

 優和に叱られている今も、悪いのは自分なのだと思い込み、悲しみも傷ついた気持ちも隠せず、そのまま表情に滲ませていた。

 そんな千温を見つめながら、優和は外で汚してきた服や、全身に染みついた料理の臭いを感じ取るたび、胸の苛立ちをさらに募らせていく。

 もともと優和が興味を抱いたのは、千温の顔だけだった。

 彼女をベッドへ誘い込むため、ただ「好きだ」と囁いただけ。それなのに千温は、呆れるほどあっさりとその言葉を信じた。ほんの少し優しく接してやっただけで、疑うこともなく、惜しげもなく本気の想いを捧げてきたのだ。

 あまりにも騙されやすいその素直さを面白いと感じた優和は、千温を自宅へ迎え入れ、自分のそばへ置くことにした。

「今の自分がどんな格好をしてるのか、よく見てみろ。お前だって、自分が馬鹿なのは分かってるだろ? 外に出たところで、どうせ人に騙されて、いいように使われるだけだ。金が欲しいなら俺に言え。いくら必要だろうと、俺なら全部出してやれる」

 口にすればするほど苛立ちが募り、優和はスーツの内ポケットから一枚のブラックカードを取り出すと、千温の顔めがけて乱暴に投げつけた。

 突然のことに驚いた千温は、反射的に一歩後ずさる。怯えたように顔を伏せたまま、小さな声で謝った。

「ごめんなさい……」

 以前の優和なら、そんな千温の姿さえ面白がっていただろう。

 けれど今となっては、ただ鬱陶しいとしか思えなかった。

「さっさと風呂に入ってこい。きれいに洗ったら、俺が用意した服に着替えてベッドに来い」

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reseñas

Visitor
Visitor
とんでもないクズ男。だけど、こういうクズって一定数いるんだよねぇ。
2026-10-08 14:53:37
2
0
紀久子
紀久子
優和というクズ男には、鬼畜という 言葉がこれ以上ないくらい ピッタリですね。 千温が少しでも早くこの鬼畜から 逃げ出して欲しいです!
2026-09-30 01:25:18
3
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86 Capítulos
第1話
 小北千温は、少し鈍いところがある。 幼い頃から今まで、周囲から最もよく言われてきたのがその言葉で、二番目に多かったのは「頭が悪い」だった。「前にも言ったはずだ。俺は、お前に外で働いてほしくない。上場企業の社長である俺が、お前一人養えないとでも思っているのか? それとも、わざわざ外へ働きに出て、俺に恥をかかせるつもりか。」 明るい照明の下、千温は俯いたままソファの前に立ち、険しい表情を浮かべた男から浴びせられる叱責を黙って受け止めていた。 宮長優和は目の前の女を鋭く見据える。自分では決して短気な性格ではないと思っていた。だが、何度言い聞かせても少しも言うことを聞かない千温を前にすると、さすがに苛立ちを抑えきれない。 千温をこの家へ迎え入れた初日から、生活に必要な金はすべて自分が負担し、金銭面で不自由な思いは一切させない――そう優和ははっきり伝えていた。 彼が求めたのは、千温が従順に言うことを聞き、大人しく自分のそばにいること――それだけだった。 それなのに千温は、これといった取り柄もなく、頭の回転も鈍い。まともな仕事を見つけられないだけならまだしも、よりによって飲食店の厨房で働き、服にも身体にも油と料理の臭いを染みつかせて帰ってくる。 その姿を見るたび、優和の胸には苛立ちがじわりと込み上げた。 優和が欲しかったのは、美しく飾っておける花瓶のような存在だった。 彼が千温に惹かれたのも、その美しい顔だけ。「どうしてお前は、いつも俺の言うことを聞かないんだ? 俺の言っていることが、まだ理解できないのか?」「でも……私も、何もしないまま養ってもらうのは嫌で……。優和がお金を稼ぐのだって、大変だと思ったから……」 言葉を紡ぐたび、千温の声は少しずつ小さくなっていく。 自分が隠れて働きに出たせいで優和を怒らせてしまったことは、千温にも分かっていた。この家へ来たあの日、大人しく言うことを聞く籠の鳥になると約束したのも、ほかならぬ自分だ。 それでも以前、顔見知りから「何もしないで男に食べさせてもらっているだけ」と陰口を叩かれたことが、ずっと胸の奥に引っかかって離れなかった。 自分の評判が悪くなれば、優和にまで迷惑をかけてしまうかもしれない。 そう思った千温は、誰にも知られないよう密かに働き、自分の生活費くら
last updateÚltima actualización : 2026-08-24
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第2話
 優和が言っていた服とは、彼が千温のために買い揃えたセクシーなランジェリーのことだった。 さまざまなデザインや素材のものが揃っているものの、どれも露出が多すぎて、千温は本当のところあまり好きではない。 身につけるだけで、恥ずかしさに顔が熱くなってしまう。 それでも優和は気に入っているようで、千温は毎晩、言われるまま素直に身につけ、彼に見せていた。 クローゼットから一着を取り出して浴室へ入り、扉を閉めると、千温はそっと自分の服の匂いを嗅いでみた。 自分では、それほど気になるほどの臭いではないと思う。 今日帰宅したとき、自分に近づいた優和が眉をひそめ、そのまますぐ身体を押しのけた姿を思い出すと、胸の奥がちくりと痛んだ。 最近の優和は、以前に比べて千温を褒めてくれることが減り、その代わりに不満を口にすることが増えたような気がする。 知り合ったばかりの頃、優和はよく千温の顔を見つめたまま、どこか遠くを見るような目をしていた。 あまりにもじっと見つめられるものだから、千温は照れくさそうに頬を赤らめ、「どうしてそんなに私を見るの?」と尋ねた。 すると優和は、少しも迷うことなく真剣な表情で、「千温がすごく綺麗だから」と答えてくれた。 そんな言葉をかけられたことなど、それまでの人生でほとんどなかった。 人目を引くほど整った容姿をしていても、幼い頃から周囲の同級生は決して友好的ではなく、顔を合わせれば頭が悪いと馬鹿にされるばかりだった。 児童養護施設で育った子だという理由でも距離を置かれ、千温と遊ぼうとしてくれる子は誰一人いなかった。 そんな毎日を過ごすうちに、千温は少しずつ口数が減っていった。 高校生になる頃には露骨ないじめこそ少なくなったものの、すでに寡黙で人との接し方も分からない性格になってしまっており、友人と呼べる相手は最後まで一人もできなかった。 優和だけは違った。 優和だけは、いつも千温は綺麗だと言ってくれた。 頭が悪いと罵ることもなく、不器用に失敗する姿を見ても、楽しそうに笑いながら「可愛い」と言ってくれた。千温は、そんな優和に少しずつ心を奪われていった。 生まれて初めて誰かを好きになり、優和はとても優しくて素敵な人なのだと、心から信じていた。 けれど最近の優和は……少し、自分のことを嫌いになってしまったような気がする。 そ
last updateÚltima actualización : 2026-08-24
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第3話
 千温が選んだのは、白いシルクで仕立てられた一着だった。 一見すると丈の短いドレスのような形をしているものの、生地は肌が透けて見えるほど薄く、背中もほとんど覆われていない。 正面も似たようなもので、胸元には乳首だけが覗くよう大胆なカットが施され、その周りには小さなリボンがあしらわれていた。 露出の多い扇情的なデザインとは裏腹に、そのリボンだけはどこか無邪気で可愛らしい印象を添えている。 下も同じように、秘部が露出する大胆なデザインだった。身に着けたままでも、わざわざ脱がせることなく挿入できるように作られている。 優和は千温の胸元を飾る小さなリボンに指をかけ、弄ぶようにゆっくりとなぞった。 これを選んだ理由など、わざわざ聞くまでもない。 それでも確かめるような眼差しを向けると、千温は恥ずかしそうに頬を染めながら、小さく「そう」と頷いた。 千温は確かに、わざとこの一着を選んでいた。 数あるランジェリーの中でも、これを身につけたときの優和が一番喜ぶことを知っていたからだ。少しでも機嫌を直してほしくて、恥ずかしさを堪えながら自分から選んだ。「ごめんなさい。私が悪かったから……もう怒らないでくれる?」「なら、何が悪かったのか、自分の口で言ってみろ」 少し迷ったあと、千温は俯いたまま、小さな声で答えた。「優和に隠れて、勝手に働きに出たのがいけなかった。それに、嫌な匂いを身体につけたまま帰ってきて、優和を嫌な気持ちにさせたことも……ごめんなさい」 優和は気のない様子で「ふん」と短く返した。 その表情からは、千温の反省に満足しているのかどうか読み取れない。どうにか優和の機嫌を直したくて、千温は必死にさらに言葉を重ねた。「ごめんなさい、優和。やっぱり、まだすごく怒ってる……? 私のこと……嫌いになった?」 その声にかすかな涙の気配を感じ取り、優和はようやく千温の胸元から視線を外し、彼女の顔を見上げた。 わずかに腫れた目元と赤く染まった目尻を見れば、さっきまで泣いていたことなど一目で分かる。 見るからにしょんぼりとしたその顔はひどく哀れで、思わず手を差し伸べたくなるほどだった。 優和も一瞬だけ心を動かされた。 それでも、ここで甘やかしてはまた同じことを繰り返すかもしれない。きちんと懲りてもらうため、口を開いたときには、あえて声を冷たくした。
last updateÚltima actualización : 2026-08-24
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第4話
 もともと反応が鈍いせいなのか、何度身体を重ねても、千温は男女の親密な行為にいまだ慣れることができず、いつまでも初めてのときのようなぎこちなさを残していた。 優和がもう百回以上もキスの仕方を教えてやったというのに、千温は少しも上達せず、相変わらずひどく不慣れなままだった。 優和は自分から唇を動かすこともなく、目を閉じることさえしなかった。 初めのうちは、何をさせてもたどたどしい千温の姿を見るだけで興奮できた。 けれど、いつまで経っても変わらないその反応を繰り返し目にするうちに、優和も次第に物足りなさを覚えるようになっていた。 もっとも、そんな千温に飽きて外で別の女を抱いたところで、一週間も経たないうちに、決まって千温の身体が恋しくなる。 少なくとも千温の顔は、外で適当に遊ぶだけの女たちとは比べものにならないほど美しかった。 何より彼女は従順で、騒ぎ立てることも、文句を言うこともない。 仕事が忙しいと言って何日も家へ帰らなくても疑いすらせず、一途に優和だけを想い続けていた。 そんな扱いやすさも、優和はひどく気に入っていた。 だからこそ何年ものあいだ手元に置き続け、一度として別れを口にしたこともない。 そもそも、千温を騙して自分のもとへ連れてくるより先に、彼女へ目をつけたのは優和のほうだった。 あれから、もう何年も経っている。 唇に触れるのは、まるで子猫が舐めているかのような、頼りなく、色気の欠片もないキスだった。それを受けながら、優和はふと、自分が千温とこんな関係をずいぶん長く続けていることに気づいた。 具体的に何年になるのかは、自分でも覚えていない。 千温と付き合い始めた日など、わざわざ記憶に留めようと思ったことさえなかった。 優和にとって千温は、いつでも好きなときに抱ける美しい玩具にすぎない。少なくとも、恋人と呼ぶような存在ではなかったからだ。  千温の秘部へ添えた手も休めることなく、柔らかなひだを繰り返し撫で、執拗に刺激し続けていた。 自分から優和を誘惑して機嫌を取るように命じられたはずなのに、先に耐えられなくなったのは千温の身体だった。優和が指先で何度か触れただけで、秘部は溢れるほど濡れ、腰まで小刻みに震え始めている。「千温、お前はどうして、いつまで経ってもキス一つまともに覚えられないんだ?」 優和が低く問いかける。
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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第5話
 千温は頬を赤らめ、口を開くなり「ごめんなさい」と素直に謝った。「悪いと思っているなら、きちんと償うべきじゃないのか?」 そう言いながら、優和は千温の肩を押し、自分の膝の上から退かせる。 離れる間際にも、わざと持ち上げた膝で彼女の秘部を数回意地悪く突き上げてから、何事もなかったかのような落ち着いた声で命じた。「千温、そこに跪け。何をすればいいか、分かってるよな?」 千温は言われたとおり彼の前へ下りると、その正面に従順に跪いた。 人より少し鈍く、要領の悪いところはあっても、彼女はひどく聞き分けがよかった。 ベッドの上で男を誘ったり、巧みに誘惑したりする術はいつまで経っても身につけられないくせに、優和に言われたことなら何でも素直に受け入れ、彼が望むことを自分から拒もうとはしなかった。 優和はそんな千温を見下ろし、口元に薄い笑みを浮かべる。 千温は彼の視線を気にするように時折顔色を窺いながら、相変わらず覚束ない手つきで優和のベルトへ指をかけた。 千温はファスナーを下ろし、重く勃ち上がったものを取り出した。優和の表情を窺いながら、おそるおそる唇を開き、ゆっくりと口に含んでいく。 優和のものは、とっくに硬く張り詰めていた。 ただでさえ大きいため、千温の小さな口では咥えているだけでも苦しく、たちまち頬まで真っ赤に染まっていく。それでも懸命に唇を押し広げ、少しでも深く喉の奥まで迎え入れようとした。 深くまで咥えたほうが気持ちいい――以前、優和にそう教えられたことを、千温はちゃんと覚えていた。 優和に、少しでも気持ちよくなってほしい。「んっ……」 静まり返った部屋には、千温が懸命に喉を鳴らす音と、淫らに濡れた水音だけが響いていた。 優和は何も言わず、片手を千温の頭へ軽く添えている。 時折、思い出したようにその手へ力を込め、千温の頭を押さえ込んでは、自分のものをわざと喉の奥深くまで突き入れた。 息を奪われ、苦しそうに顔を歪める千温をしばらく眺めたあと、ようやく力を緩め、ほんの少しだけ呼吸を整える時間を与える。 千温の息が落ち着きかけた頃を見計らっては、再び頭を強く引き寄せ、逃れることもできないほど深くまで咥え込ませた。 もっとも、そんなことを繰り返しているのは、千温を困らせ、その反応を眺めて楽しみたいからに過ぎない。それだけで優和自身が射精
last updateÚltima actualización : 2026-08-27
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第6話
 千温が四つん這いになって進めば、開かれた脚の間は、優和の目の前に余すところなく晒される。 優和の寝室は十分な広さがあり、ソファから大きなダブルベッドまではそれなりに距離があった。普段から歩くのが遅い千温は、両膝と手を床についた姿勢ではさらにゆっくりとしか進めない。そのおかげで優和は、無防備に晒された彼女の姿を存分に眺め、楽しむことができた。「はっ……」 喉の奥から低い笑い声が漏れる。 ようやくベッドの前まで辿り着いた千温は、命じられたとおり脚を開いてうつ伏せになり、腰を浮かせて姿勢を整えると、優和が次に何をするのか大人しく待っていた。 優和はすぐには動かず、わざとそのまま千温を待たせ続ける。 次第に不安になった千温が小さな声で彼の名を呼んだところで、優和はようやくソファからゆっくりと立ち上がり、ベッドへ向かって歩き始めた。「何を呼んでる。まだ少ししか待たせてないだろ。そんなに男に抱かれたくて仕方ないのか?」「優和……優和……」 千温の背後まで来ると、優和は片手でその細い腰を押さえつけ、もう片方の手を尻へ振り下ろした。 乾いた音が、数回続けて寝室に響く。 硬く勃ち上がったものを千温の濡れた秘部へわざと押し当てながらも、いつまで経っても中へ入れようとはしない。ただ入り口の周りを執拗に擦り続け、その硬い熱が触れるたび、千温の秘部からはさらに愛液が溢れていった。 焦らされる感覚に耐えきれなくなり、千温の腰が無意識に数回揺れる。 すぐさま優和の手が尻へ振り下ろされ、再び鋭い音が響いた。「勝手に動くな」 そう咎めてから、優和はさらに意地悪く言葉を続ける。「千温、欲しいものがあるなら、ちゃんと口に出して言え。分かるよな?」 千温は小さく返事をすると、震えの止まらない身体を懸命に抑えながら、柔らかな声で答えた。「優和が……欲しい……」「優和の何が欲しいんだ?」 わざわざ問い返され、千温は言われるがまま、羞恥に震える声でその続きを口にした。「優和の……硬いの、中に入れてほしい……」「いい子だ」 満足そうにそう褒めた直後、優和の昂りが千温の中へ一気に突き入れられた。 突然与えられた大きな衝撃に、千温の両手がシーツをきつく握り締める。 唇から零れる細かな喘ぎ声も、優和の激しい動きに身体を突き上げられるたび、途切れ途切れに乱れていった
last updateÚltima actualización : 2026-08-27
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第7話
千温は呆然とした。 優和は、自分が別の女の名前を口にしたことに気づいていないようだった。 千温の身体を抱え込む腕にはますます強い力がこもり、腰の動きも激しさを増していく。全身に滾る熱も力も、何もかも千温の身体の奥深くへ叩き込もうとしているかのようだった。 激しい律動に突き上げられるたび、千温の唇からは堪えきれない喘ぎ声が零れる。 それでも、先ほどまでと比べれば、その声は明らかに小さくなっていた。 きっと、聞き間違いだ。 自分の名前とよく似た名前だったから、そう聞こえてしまっただけ。「優和、優和……キス、してもいい……?」 先ほど耳にした名前をどうにか忘れてしまいたくて、千温は乱れた息の合間にそう尋ねた。 シーツを掴んでいた手を離し、もう一度、自分の胸を押さえている優和の手に触れようとする。 それが邪魔だったのか、優和は伸ばされた手を掴むと、もう片方の手までまとめて背中側へ回し、そのまま千温の腰へ押さえつけた。 両腕を封じられ、千温は身動き一つ取れなくなる。 優和の動きは少しも緩まない。あまりにも激しく深く突き上げられ、強い快感の中には、次第にわずかな痛みまで混じり始めていた。 優和は千温の言葉に答えなかった。 口づけようとする素振りさえ見せてくれない。 そのことが、先ほど聞こえた名前と重なり、千温の胸の奥に小さな不安となって引っかかった。 次の瞬間、ひときわ強く深く突き上げられ、千温は堪えきれず、無意識のうちに中をきつく締めつけた。 直後、頭上から優和の低く重い息が落ちてきた。「っ……」 強く締めつけられ、痛みにも似た刺激が走ったのだろう。 優和は片手を振り上げると、千温の尻へ容赦なく叩きつけた。乾いた音が寝室に響く。荒い息の合間に低く笑い、苛立ちの滲んだ声で吐き捨てた。「ふざけるな、千鶴」 今度は、はっきりと聞こえた。 聞き間違いなどではなかった。 優和も、自分が名前を呼び間違えたことに気づいたのだろう。激しく動いていた腰が、唐突に止まった。 ほんの数秒、沈黙が落ちる。 それだけの短い時間だったはずなのに、千温には息が詰まりそうなほど長く感じられた。 寝室からすべての空気が消え失せ、世界そのものが止まってしまったかのようだった。 けれど優和は何も言わなかった。 言い訳も、謝罪もない。 ほどなくして、まる
last updateÚltima actualización : 2026-09-01
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第8話
 避妊薬を飲むよう言いつけると、優和は寝間着に着替え、再び先ほどまで座っていた一人掛けの椅子へ腰を下ろした。 タブレットを手に取り、読みかけだった資料へ何事もなかったかのように視線を戻す。 千温はひどくゆっくりとした動きで、ベッドの上に身体を起こした。 白く滑らかな肌には、いくつもの赤い痕が残されている。どれも、力加減など考えずに優和が掴み、押さえつけた跡だった。「優和、さっき……ほかの人の名前、呼んだ……?」 身体を起こした拍子に、体内に残されていた精液がゆっくりと流れ落ちていく。 今、自分が何を感じているのか、千温自身にもよく分からなかった。 確かに、彼女は人より鈍い。 けれど、何も分からないほど愚かなわけではない。 あんなときに、無意識に口から零れてしまうほどの名前だ。 その女が優和にとって何の意味もない相手だとは、どうしても思えなかった。 千温がわざわざ先ほどのことを口にするとは思っていなかったのだろう。優和の表情に、ほんのわずかな苛立ちが滲んだ。 それでもタブレットから視線を上げようとはしない。 まるで聞く価値すらないことを尋ねられたかのように、ひどく冷淡な声で一言だけ返した。「お前の聞き間違いだ」 後ろめたさがあったのかもしれない。 そう言い切ったあとも、千温が呆然としたまま動こうとしないのを見ると、これ以上何か問いかけられることを恐れたのか、優和の顔には隠しきれない苛立ちが浮かんだ。 声にも露骨な険しさを滲ませ、半ば追い払うように言い放つ。「千温、言うことを聞いて自分の部屋へ戻れ。俺が仕事をしているときは邪魔をするなって、前にも言っただろう。何かあるなら明日にしろ」 明らかに機嫌を損ねた優和の様子を見て、千温は黙って俯いた。 先ほどの行為ですっかり乱れてしまったランジェリーを、何も言わずにゆっくりと整える。「……分かった」 小さな声でそれだけ答え、それ以上は何も尋ねなかった。 結局、優和は最後まで千温を見ることさえしなかった。 千温もそれ以上その場に留まることはできず、一人きりで静かに寝室を出ていった。* 翌朝、まだ眠りの中にいた千温は、頬のあたりを何かが優しく撫でているような感触を覚えた。 重い瞼をゆっくりと持ち上げると、すぐ近くから自分を見下ろす優和の視線と重なった。 優和はすでに身支度を整
last updateÚltima actualización : 2026-09-01
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第9話
「う、ううん……」 千温は慌てて首を横に振ると、自分の頬を優和の手のひらへ甘えるように擦り寄せた。 その仕草に満足したのか、優和はもう一度笑みを浮かべる。布団の中から千温の身体を抱き上げると、そのまま自分の膝の上へ乗せた。「朝からそんなふうに甘えられて、俺が勃ったらどうしてくれるんだ?」 千温はまた呆然とし、小さく「あ……」と声を漏らした。 優和の言葉につられるように、視線が無意識のうちに彼の下半身へ向かう。 実際には、優和のものはまだ勃っていなかった。それでも彼の言葉を素直に信じ、確かめるように俯く千温の姿は、どこか鈍く、あまりにも無垢で可愛らしい。 そんな千温を眺めているうちに、優和は何となく彼女を困らせてやりたくなった。「千温、口を開けろ」 優和はベッドの端から立ち上がると、片手で千温の顎を軽く持ち上げた。もう片方の手で素早くズボンのファスナーを下ろし、まだ完全には勃っていないものを取り出すと、彼女の頬へ軽く打ちつける。 千温が言われたとおりに唇をわずかに開いた途端、優和は待ちきれないようにその後頭部を押さえつけ、自分のものを口内へ深く挿し入れた。 熱く柔らかな口内に包み込まれ、優和の唇から満足そうな吐息が微かに漏れる。 やはり、これほど従順で扱いやすい愛人を、わざわざ手放す理由などどこにもない。 これほど美しい上に、自分が望めばいつでも好きなように抱ける。飽きてしばらく放っておいたところで、帰ってくれば変わらず自分だけを見ている。 これほど都合のいい女を、ほかに探そうと思っても、そう簡単には見つからないだろう。 そんな身勝手な考えが、ごく当たり前のことのように優和の頭をよぎった。 「んっ……!」 千温はたちまち呼吸を奪われ、苦しげに喉を鳴らした。 口内の熱に包まれたそれは、見る間に大きく硬さを増していく。舌を重く押さえつけながら、やがて根元近くまで喉の奥深くへ押し込まれた。 千温は両手で優和の腕へ必死にしがみついた。 優和は腰を動かし、彼女の口内を強く何度も突きながらも、仕事のことについて言い聞かせるのを忘れなかった。「千温、これからは勝手に外で仕事を探すな。分かったか? どうしても働きたいって言うなら、この家を綺麗に掃除しろ。家政婦と同じ時給で、俺がお前に給料を払ってやる」「んぅ……」 優和の言葉はきちんと
last updateÚltima actualización : 2026-09-01
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第10話
 沢田は優和の身の回りを管理する個人秘書であり、その仕事の一つが、優和が関係を持った女たちの後始末を代わりに引き受けることだった。 仕事中の優和は、私生活の問題で煩わされることを何より嫌っている。 これまで何人もの女と関係を持ってきたものの、そのどれもが一時の興味から始まった関係にすぎず、誰かと本気で恋愛をするつもりなど、優和には初めからなかった。 それでも一度身体を重ねただけで、自分は優和に愛されていると勘違いし、正式な恋人として扱うよう騒ぎ立てる女は少なくない。 優和にとって、そんな女たちを宥めたり、言い聞かせたりすることは、ただ面倒なだけだった。そのため、自分の女性関係にまつわる厄介事は、すべて沢田に任せている。 長いあいだそばに置いている千温も、その例外ではなかった。 仕事をしている最中に、彼女の個人的な要求へ付き合うつもりはない。何かあれば沢田へ連絡するよう、優和はいつも千温に言い聞かせていた。 もっとも、千温はこれまで優和のそばに置いてきた女たちの中でも、飛び抜けて従順で大人しい。 何度、用事があれば沢田を頼れと言い聞かせても、彼女が問題を起こすことはなく、自分から沢田へ連絡して余計な手間をかけさせることさえ、ほとんどなかった。 本当に手のかからない女だ。 今朝も自分に口で奉仕した千温へ褒美をやるように、優和はその頭を優しく撫でた。 優和自身は、それで十分に優しくしてやっているつもりだった。「お前はもう少し寝ていろ。俺は会社へ行く」「優和、私……ちゃんと家の中を綺麗に掃除するから、今日は少し早く帰ってきてくれる?」 優和が部屋を出ようとしたそのとき、何かを思い出した千温が、慌てて彼を呼び止めた。 ここ数日、優和の帰宅はずっと遅かった。ときには朝まで帰ってこない日さえあり、二人はもう長いこと一緒に夕食を食べていない。 昨日は珍しくいつもより早く帰ってきたものの、それも千温が隠れて働いていたことを責めるためだった。 千温の言葉を聞き、優和は足を止めて振り返った。自分より低い位置にある彼女の顔を見下ろしながら、何かを考えるようにしばらく黙り込む。 やがて、短く答えた。「分かった」 たったその一言を聞いただけで、千温の顔には嬉しそうな笑みがぱっと広がった。 あまりにも無邪気で美しいその笑顔に、優和は一瞬だけ目を奪われる
last updateÚltima actualización : 2026-09-02
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