優和が千温を自宅へ連れ帰った日から数えれば、すでに三年近い月日が流れていた。 二人が初めて出会ったのは、まったくの偶然だった。 その日、優和は千鶴に誘われ、T大学の学園祭へ足を運ぶ約束をしていた。ところが途中で用事に手間取り、到着が遅くなってしまったため、千鶴とは大学構内にある校舎の三階、その一室で直接待ち合わせることになった。 待ち合わせ場所に指定された教室では、写真部による作品展が開かれていた。 千鶴は写真部の部員ではなかったものの、自分で撮影した風景写真を一組出展しており、それを優和にも見せたがっていた。 優和が教室へ到着したとき、中にいたのは一人の女子学生だけだった。 その学生は、飾り気のない白い長袖のシャツを身に着けていた。何度も洗濯を重ねたことが一目で分かるほど生地はくたびれ、髪も後ろで無造作に一つに束ねているだけだった。 あまりにも質素な姿で、千鶴なら普段、決して選ばないような格好だった。 優和は多少の違和感を覚えながらも、深く考えることなく、そのまま教室の中へ足を踏み入れた。 その気配に気づいた女子学生が、ふと振り返る。 二人の視線が重なった。 顔を見た瞬間、優和は思わず足を止めた。 そこにいるのが千鶴だと疑うことさえなく、ほとんど反射的に声をかける。「今日はどうしたんだ、その格好。ずいぶん素朴な雰囲気だな?」 突然言葉を向けられた女子学生もまた、驚いたように目を見開いた。 困惑を浮かべながら優和を見つめるその顔は、千鶴と驚くほどよく似ている。それでも、表情や醸し出す雰囲気は彼女とはまるで異なっていた。 千鶴は性格も振る舞いも、口にする言葉や声にさえ、自信と明るさが滲んでいる。 それに比べ、目の前にいる女子学生は、怯えているのに逃げることさえできない小鹿のようだった。 もしかすると、自分が忘れているだけで、以前どこかで会ったことがあるのだろうか。そんな不安を滲ませながら、ひどく遠慮がちな声で問い返す。「あの……私たち、どこかで会ったことがありますか?」 それが、優和と千温の初めての出会いだった。 ようやく別人だと気づいた優和は、すぐに謝った。「悪い。人違いだった」 千温は小さく「はい」と答えた。 どうやら人と接すること自体が苦手らしく、特に見知らぬ男である優和にはひどく警戒しているようだった。 た
Zuletzt aktualisiert : 2026-09-02 Mehr lesen