クラリスは、動かなかった。 動かなかったが、胸の奥が静かに冷えた。 王太子妃教育。 それは彼女にとって、あまりにも身近な言葉だった。 十年近く、当然のように受けてきた教育。 礼法、外交、儀礼、財務、慈善、王宮内の人事、晩餐会の席次、国外使節の文化、神殿との連絡、祭礼文書の確認。 それらを学んだ。 そして、学ぶだけでなく実際に担ってきた。 しかし、そこに支出不正があった?「続けて」 レオンハルトの声は低かった。 記録官が資料を慎重にめくる。「王太子妃教育補助教材費。王宮儀礼書写本十部。隣国儀礼比較表作成費。外交語学教師追加手当。王妃執務院補佐人員費」 クラリスの眉が、
Huling Na-update : 2026-09-17 Magbasa pa