体が凍りついたように動かない。なのに和智は、慣れた様子で顔を寄せ、唇を重ねてきた。まるでこの触れ合いを、これまで何百回と繰り返してきたかのように。込み上げる嫌悪感が全身を駆け巡る。未知瑠は渾身の力で彼の腕を振りほどき、テーブルの上の冷えた酒の入ったグラスをつかむと、和智の顔面めがけて浴びせかけた。そこへ、知華が足早に歩み寄ってきた。「もういい加減にしてよ、未知瑠。まだ気づいてないの?和智がずっと好きだったのは、あんたのお姉ちゃんの穂月だよ」未知瑠はその場に凍りついたまま、ゆっくりと辺りを見回した。そこにいる女子たちは皆、姉の穂月が普段よく着ている服装や色合いを真似ていた。息が震える。信じられない思いで、苦楽を共にしてきたはずの親友を見つめた。「……どういうこと?」知華の表情は平然としていた。スマホのアルバムを開くと、画面を未知瑠の目の前に突きつけてきた。「高校の卒業旅行のとき、あんたにわざと嘘ついたでしょ。チケットが取れなかったって。本当は和智と穂月にふたりきりの時間を作ってあげたかったの。なのにあんた、空気を読まずに自分でチケット買って、無理やりついてきた」未知瑠の頭の中で、ガンと音がしたような衝撃が走った。あのとき未知瑠は、自腹でチケットを買い、喜んで駆けつけたのだった。到着したあと、妙に重苦しい空気が流れていた。皆で談笑していたのに、自分が近づいたときだけ、誰もが表情を強張らせ、言いようのない気まずさが漂っていた。あれは、姉と和智だけの世界に、自分が土足で踏み込んでいたということだったのか。知華は未知瑠の血の気の引いた顔など気にも留めず、話を続けた。「大学時代、就活していたときもね、みんなで裏で相談してた。あんたを地方に送り出そうって。そうすればふたりが自然に一緒になれるから。なのにあんた、私のパソコンに残ってた地元の求人資料を勝手に見て、自ら応募してここに残ったじゃない。そのあと家を買う話になったときも、遠回しに郊外エリアを勧めたのに。よりによって都心のあの物件を選んで。和智の近くにね」未知瑠は手を伸ばし、乱暴に知華のスマホを伏せさせた。涙はとっくに限界まで溢れそうになっていたが、必死に堪えて零れ落ちないようにした。目を赤くしたまま、震える声で口を開く。「……なんで。この何年もの間、
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