第41話 善意を着た調査員 北辰統合区の調査班は、約束した日の午前十一時過ぎに市立病院へ到着した。 先頭を走ってきたのは、車体を橙色に塗った大型雪上車だった。側面には北極星を模した青い印と、「北辰統合区・救援支援班」という文字が大きく描かれている。その後ろには資材運搬用の履帯車が続き、屋根には折り畳み式のアンテナと投光器が取りつけられていた。 吹雪の中でも見つけやすい色と標章は、救助車両として理にかなっている。しかし、それだけ目立つ車で移動できるのは、襲撃されても対処できる自信があるからでもあった。 白川恋は病院の屋上から車両の接近を確認し、隣に立つ相馬へ声をかけた。「予定より一人多く見えます」「通信では六人と言っていましたよね。運転手を数えていなかったのか、それとも当日になって追加したのか」「どちらにしても、入口で確認します。人数が違う以上、全員を中へ入れる必要はありません」 恋の手元にある端末には、病院内の立ち入り区分が表示されていた。緑は診療と設備点検を認める区域、黄は職員の同行が必要な区域、赤は薬品庫、食料庫、発電機の燃料保管庫、通信室である。患者の個人記録や病院と避難所を結ぶ交易路の資料も、すでに施錠できる部屋へ移していた。「本当に救援が目的なら、そこまで警戒されると気分を悪くしませんか」 相馬が尋ねた。「気分を悪くしたという理由で規則を破ろうとするなら、なおさら入れられません。あなたも、病院の外で見つけた親子をそのまま避難所へ連れて帰らなかったでしょう」「あの二人には発信器が仕込まれていた。でも、今回は北辰統合区が身元を明かして来るんです」「身元を明かした人間は、嘘をつかないのですか」「そこまでは言っていません。今日くらいは、人を疑う役を白川さん一人に任せず、俺も引き受けますよ」 相馬は屋上の縁から離れ、先に階段へ向かった。姉の千尋から、自分だけが危険な役目を背負うなと言われたばかりでありながら、恋に同じことを言っている。その矛盾を指摘すれば意地になると思い、恋は黙ってあとを追った。 雪上車は、病
Huling Na-update : 2026-10-07 Magbasa pa