Lahat ng Kabanata ng 『氷河末世で殺された私、30日前に回帰して百億の物資を異空間へ備蓄します ~凍えて助けを求めても、二度と扉は開けません~: Kabanata 51 - Kabanata 56

56 Kabanata

第51話 嘘の第二保管庫

第51話 嘘の第二保管庫 偽の保管庫を調べ終えた北辰統合区の雪上車は、恋たちの避難所へ向かわなかった。 監視画面の中で進路を変えた車両は、吹雪にかすむ街路を東へ進み、やがて旧消防署のある区画へ近づいていく。そこには病院との連絡を中継するために設置した無線設備があり、互いの電波が直接届かない時には、短い暗号通信を自動で転送する仕組みになっていた。 北辰の者たちが中継地点の存在を知っているとは考えにくい。だが、偶然で済ませるには、雪上車の進路が正確すぎた。「旧消防署まで、あと一・八キロです。このまま進めば、十分以内に外周へ入ります」 柏木が地図上へ車両の位置を重ねた。カメラから届く映像は雪の粒に乱されているが、熱源の輪郭までは失われていない。雪上車とは別に、少し離れた場所を進む二つの小さな熱源も確認できた。先行して周辺を調べる斥候だろう。 恋は監視卓の脇へ置かれた偽装資料を振り返った。偽の保管庫には、実在しない物資の一覧と、別の場所へ搬出したように見せかける伝票を残してある。ただし、搬出先として記したのは北側の廃冷凍倉庫であり、旧消防署へつながる記述は一つもない。「橋本さん、偽装資料に消防署を連想させるものはありませんね」「ありません。念のため、搬入元の会社名や車両番号まで確認しましたが、消防関係の記録は使っていません。物資の移動先も北側です。あの資料を信じたなら、東へ進む理由はないはずです」 橋本は自分の作った一覧を指で追いながら答えた。嘘を作るにも整合性がいると、彼は倉庫の入出庫記録を何日も調べ、現実にありそうな数量へ調整していた。雑な偽装なら水城拓斗でなくとも見破れる。だからこそ、北辰が偽情報とは無関係の方向へ動いた事実は重かった。「偽の保管庫から周囲を扇状に捜索している可能性はあります」 相馬が地図へ身を寄せ、雪上車の移動経路を確認した。「あいつらが第二保管庫を本気で信じたとは思えません。空だった時点で、近くに監視設備や別の拠点がないか調べるでしょう。旧消防署は建物が比較的残っていますし、高い通信塔もある。捜索対象に入っても不自然ではない」「病院との往
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第52話 残り百二十分

第52話 残り百二十分 病院の暖房が止まってから完全に冷え切るまで、残された時間は二時間だった。 零下九十度近い外気にさらされた建物では、熱を作る設備が止まれば、壁も床も巨大な氷の塊へ変わっていく。市立病院には断熱材が入り、窓の一部も応急処置で塞がれているが、それでも永遠には持たない。とりわけ乳児と術後の患者は、自力で体温を保つことが難しかった。 恋は監視室の机に地図を広げ、旧消防署、病院、偽の第二保管庫を赤い線で結んだ。北辰の雪上車は、いまも廃冷凍倉庫へ向かっている。偽装資料に記された搬出先を確認するためだろうが、そこに何もないと分かれば、再び旧消防署か病院方面へ戻ってくる可能性が高い。「病院への最短経路は使いません」 恋が告げると、相馬はすぐに頷いた。「旧消防署の南側を通れば三十分で着きますが、北辰が受信装置を残しています。川沿いの資材置き場を抜け、地下道を二つ通る経路なら、五十分から一時間です。ただ、途中で雪が深くなっていれば、もっとかかります」「車両は小型の雪上運搬車を使ってください。大きな雪上車より遅いですが、熱源が小さく、狭い道を通れます。修理に必要な部品は?」 小野寺が病院から届いた短い信号と、以前に共有された設備資料を見比べた。「主発電機は吸気閉塞で安全装置が働き、停止した可能性が高い。予備機が起動しないのは、始動用バッテリーか燃料系統でしょう。病院の発電機室は普段なら氷点下まで下がりませんが、暖房が止まれば急速に冷えます。冬用軽油でも、この気温では燃料フィルターが詰まるおそれがある」「交換用フィルター、始動用バッテリー、燃料加温器、吸気口の氷を溶かすヒーター、工具一式を持っていきます」 橋本が物資の一覧を書き始めた。以前なら、それらの大半を恋の異空間から取り出していただろう。しかし、現在は右手の治療中であり、非常用の部品は百八十日分の分散備蓄へ移してある。橋本が物品棚から必要なものを集めても、恋は手を貸さなかった。今後も自分一人が全てを出し入れする状態を続けないために、あえて任せるべき場面だった。「修理手順は病院へ送ります。現地だけで復旧できれば、相馬さ
last updateHuling Na-update : 2026-10-18
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第53話 六人と一人の交換条件

第53話 六人と一人の交換条件「俺を渡せば、真壁さんたちは戻る。数字だけなら、迷う理由はないな」 藤堂の言葉が、外部診療室の静かな空気へ落ちた。 壁に取り付けた暖房機は一定の低い音を立て、窓のない室内を二十二度に保っている。その温度とは裏腹に、机を挟んで向かい合う者たちの間には、容易に埋められない冷たさがあった。 北辰統合区から届いた交換条件は明快だった。真壁と倉庫作業員五名を解放する代わりに、藤堂直哉を返還する。その交渉には白川恋本人が出席しなければならない。 六人と一人。人数だけを比べれば、答えは最初から決まっているように見える。「人間を数字だけで選ぶつもりはありません」 恋が答えると、藤堂は固定された脚を見下ろした。「きれいごとを言っているとは思わない。あなたがそういう考えで動いてきたことも、この数日で分かった。ただ、向こうにいる六人を助けるために、俺一人が戻る。それで済むなら、悪い交換ではないだろう」「御厨さんが、あなたを戻すだけで満足すると思いますか」「思わない。俺を連れ戻す目的は、北辰から離れた者を放置しないと示すためだ。事情があれば勝手に抜けても許されるとなれば、ほかの連中も続く。御厨さんは、それを恐れている」「ならば、戻った後に処罰される可能性があるのでは?」「あるだろうな」 藤堂は、何でもないことのように言った。 しかし、シーツの上に置かれた手は硬く握られ、爪の色が白くなっている。自分がどう扱われるか分からない恐怖を、声に出さないことで押さえ込んでいるのだろう。「それでも、菜々は北辰の中にいる。俺が戻れば、少なくとも娘が『裏切り者の子供』と呼ばれる理由は減る。今は御厨さんも露骨なことはしないだろうが、食事の量や寝る場所を規則の名目で変えることはできる。七歳の子供に、父親の選択の責任を負わせたくない」「藤堂さん自身は、北辰へ戻りたいのですか」 恋が尋ねると、藤堂はすぐには答えなかった。暖房機から流れる風が、机に置かれた交換条件の紙をわずかに揺らしている。「戻りた
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第54話 開いた扉の向こう側

第54話 開いた扉の向こう側『白川恋だけが、あなた方に北辰を敵だと思わせています』 御厨の放送が途切れたあとも、食堂に集まった者たちは受信機を見つめ続けていた。 機械はすでに沈黙し、表示灯だけが一定の間隔で明滅している。それでも、誰かが口を開けば、自分の本音まで周囲へ知られてしまうような息苦しさが残っていた。 北辰統合区は、銃口ではなく選択肢を向けてきた。 六百人以上が暮らす大規模な共同体、暖房設備、医師、警備員、配給制度。武器を置いて北辰へ来れば、過去の所属を問わず受け入れるという。御厨が約束を守り、真壁たち六人を実際に返した直後だからこそ、その誘いには無視できない重みがあった。「北辰へ行きたいと言ったら、本当に止められないんですか」 食堂の後方から、若い男が尋ねた。 杉浦達也という元配送員だった。災害発生後、近隣の集合住宅から保護され、物資運搬や雪かきに加わってきたが、恋や評議会と親しいわけではない。これまで大きな不満を訴えたこともなかった男が、人々の間を抜け、机の前まで出てきた。「今すぐ出ていくと言っているわけじゃありません。ただ、北辰には六百人いるんですよね。ここより設備も人手も多い。御厨という人のやり方が気に入らないとしても、あちらのほうが生き残れる可能性が高いと考えるのは、間違っているんでしょうか」 誰かが小さく舌打ちした。「真壁さんたちを人質に取った連中だぞ。そんなところへ行くのか」「ここにいたって、十日以内に攻められるかもしれないんでしょう」 杉浦は声を荒らげなかったが、引き下がりもしなかった。「俺は兵士じゃない。白川さんに助けてもらったことには感謝していますし、仕事を割り振ってもらったことにも不満はありません。でも、北辰と戦うためにここへ来たわけではないんです。生きられる場所がほかにもあるなら、どちらを選ぶか考えたい。それを裏切りと言われたら、俺は何のために生き残ったのか分からなくなる」「北辰へ行けば、ここの内部情報を全部話させられる。お前一人の問題では済まないんだ」 別の男が椅子から立ち上
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第55話 敵の車で命を運ぶ

第55話 敵の車で命を運ぶ 北辰統合区の車列は、避難所へ近づかず、南へ進み続けた。 三台の大型車両は等間隔を保ち、先頭車が吹きだまりを崩し、後続車がその轍をなぞっている。車体後部に積まれた居住用の断熱箱からは弱い熱が漏れていたが、人間が乗っているほどの温度ではない。内部を凍結させないため、最低限の暖房だけを動かしているようだった。「この先で南へ向かえる幹線道路は二本あります。一つは山間部の発電所方面、もう一つは研究施設を経由して、旧食品工業団地へ抜ける道です」 相馬が地図へ二本の線を引いた。右足の凍傷は軽度だったが、真帆から外出を禁じられているため、椅子に座ったまま監視に加わっている。「いまの位置で進路を変えなければ、研究施設へ向かう道ですね」 恋は監視画面の車列と地図を見比べた。 研究施設には、榊原と皆川を含む生存者が残っている。研究用の種子は複数の拠点へ分散させたが、生きた培養組織や発芽試験中の種は施設内に残されていた。それらは右手の異空間へ入れられない。異空間の内部では時間が止まり、物品は劣化しないが、生きた細胞は生存できないからだ。 北辰の車列が、研究施設の人員と培養物を運ぶためのものなら、三台の断熱箱にも意味がある。「北辰は、次の寒波が来る前に研究施設を回収するつもりでしょう」 柏木は新しい気象予測を机へ置いた。「現在の外気温は零下九十二度ですが、寒気の本体はまだ北西にあります。最も早い予測では、三十六時間後から急降下が始まる。研究施設の外壁は厚いものの、暖房設備は一系統しか残っていません。零下百度を下回れば、故障していなくても出力が足りなくなる可能性があります」「連絡は取れますか」「研究施設との専用周波数を試します」 小野寺は右手の指先へ保温材を巻いたまま、通信卓へ座った。病院での作業による凍傷は軽かったものの、富美子と真帆から休むよう言われている。それでも、通信の設定だけはほかの者へ任せられないと医務室を抜け出し、後で必ず戻るという条件で監視室へ来ていた。 数回の呼びかけの後、雑音の中から榊原の声が返ってきた。
last updateHuling Na-update : 2026-10-21
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第56話 十二万リットルの人質

第56話 十二万リットルの人質御厨の放送が終わっても、食堂に集まった者たちはすぐには口を開かなかった。壁際の石油ストーブが低く燃え、天井付近を通る温水管がときおり金属の収縮音を立てている。昨日までなら聞き流していたはずの小さな音が、今夜は燃料の残量を数える時計の針に思えた。橋本は放送の途中から書き始めていた数字を、白板の中央にもう一度大きく記した。百二十万ではない。十二万リットル。それでも、暖房用のポリタンクを頭に思い浮かべた者にとっては、現実味のない量だった。「念のために言っておきますが、これは灯油のポリタンクを六千個ほど並べた量です。重量だけで百トン近い。御厨が明日の夕方までに寄越せと言っているのは、倉庫の隅に置いてある予備を分けてくれという話ではありません」橋本は白板の数字を囲み、手袋を外さないままマーカーを置いた。物流会社にいた頃なら、これだけの燃料を動かすにはタンクローリーの確保から運行計画、受け入れ先の設備確認まで、複数の部署が何日もかけて調整したはずだった。ところが御厨は、そのすべてを恋の右手ひとつで飛び越えようとしている。「北辰の六百二十七人を移すために、本当にこれだけ必要なのか」真壁は折れた左手の人差し指を固定したまま、右手で資料をめくっていた。傷口の腫れが残る顔で細かい数字を追う姿は痛々しかったが、休めと言われて素直に寝ていられる男でもない。「向こうにいた間、車両置き場は何度か見ました。大型バス、除雪車、資材運搬車、装甲を追加した警備車両、それに暖房用の燃料槽がある。全住民を一度に運べる台数ではないから、往復を前提にしていたはずです。ただし、十二万リットル全部が住民輸送に必要かと聞かれれば、俺は違うと思う。移転後の拠点を維持する分と、警備車両を動かす分まで含んでいるでしょう」「だったら渡すべきじゃない」誰かが低い声で言うと、それまで黙っていた住民たちの間から、押し殺していた言葉が次々にこぼれた。「燃料を渡して、その車でここを襲われたらどうするんだ」「でも、あそこには子供だっているんでしょう。昨日ここを出た人たちもいる。自分で選んで出ていったんだから知ら
last updateHuling Na-update : 2026-10-22
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