付き合ってる彼氏に冷たくされたところに顔の良い男子が寄ってきて。優しく口説かれて絆《ほだ》されたらそっちに心奪われるのは人の情だろう。でも、元カノにとっては本命はそうちゃんだったわけで。正気に戻ったとき。それはそれは後悔が残っていたのだろう。「でも俺、修羅場ヤなんですよね」私からも店長からも目を逸らしてコーラに口を付ける。「修羅場を避けた結果が、これだ。結局修羅場は先延ばしされただけじゃないか?」「そうみたいですね」コーラを半分程飲み干したそうちゃんは、溜め息混じりに言った。「……修羅場、やってくるしか無いんじゃない?」「ももちゃん。俺が刺されてもいいの?」コーラ片手に大袈裟に悲しそうな顔を作るそうちゃんに私は苛立ちを覚えた。「そうちゃんが刺されるって言うならさ。関係無い亜樹が刺されてもおかしくない状況だったんだよね⁈」「そ、そうか……」「そうか、じゃないわよ全く。お腹と背中に少年ジャンプとか入れるぐらいの気概を見せてくれないと、私そうちゃんの彼女やめるよ?」「ももちゃん……」「白雪さん、それ速水が刺される前提……」悲しそうなそうちゃんと苦笑いの店長。構うものか。そうちゃんはこの騒ぎの責任を自分で取るべきだ。「自分の尻を自分で拭けない彼氏はいらないって言ってんの。本当に刺されたら救急車呼んであげるから、きっちり修羅場、やってきて!」とは言うものの。私が修羅場に立ち会うのはどう考えても危険。そうちゃんは単身、元カノの元へと行ってきた。当然だ。そうちゃんのやらかしは、そうちゃんがケリをつけるのが筋だ。亜樹にかなりの迷惑を掛けたんだ。何が何でもやってもらう。ロミオに来ていた元カノ、ユリさん。現在そうちゃんが修羅場の真っ最中だろう。念の為私は、そうちゃんの部屋で待機していた。自宅の近くで修羅場っていうのもどうなんだろう?自宅の場所が知れたら詰んじゃうのでは?そんなことをぐるぐると考えている間に、スマホが震えた。画面に映ったのはそうちゃんの名前。「はい」「……俺」私の名前は口にしないよう、念を押していた。一応ちゃんと守っているようだ。「大丈夫?刺されてない?」「ああ……疲れた」「部屋で待ってるから。頑張って帰ってきて」「ももちゃん、お迎え……」「……名前を口にするなって言ったよね?」「ごめん」危機管理が本
最終更新日 : 2026-10-03 続きを読む