「──高校入ったとき、俺、ももちゃんをずっと探してた。同じ高校にいるかもしれないし、電車が同じかもしれない。遊びに行った先にもいるかもしれないって」「そうなの?」高校か。私、どうしてたっけ?そうちゃんに会いたいとは思ってたけど、彼がどの高校に行ったのかなんて全く見当つかなくて諦めていた。そもそも日本に帰っているかどうかも……お母さんから聞いたかどうか、覚えていない。会いたいけど、もう遠い人。私にとってそうちゃんは、当時そういう存在だった。「でも見つからなかった」私の目を見つめたり、逸らしたり。斜め下を見たり夜空を見たり。そうちゃんの視線の忙しさは、彼にしては珍しく落ち着かなさを表していた。「ツレにはももちゃんの話はしてた。だから最初はももちゃんを探すのに付き合ってくれてたけど」「……けど?」次の言葉を静かに待っていた。「──やっぱ、やめとく」「へ?」ここまで話して中断って?どゆこと?「また今度にしよう。今日は遅いし、雨降りそうだし」「え、でも……」確かに今はもうすぐ午前1時。話は長くなりそうで、雨の匂いが鼻をついていた。「中途半端でごめん。なあ、今度の金曜はシフト入ってないだろ?」「うん。土曜になってる」本当は最後まで聞きたい話だ。だって気になり過ぎる。こんな中途半端、蛇の生殺しじゃない。「金曜、学校終わったら俺ん家来て。ももちゃんのご飯食べてみたい」「……え、ちょ。ももちゃん?」「今……話しかけないで」ウインナーを慎重に慎重に切っていく。──あ。転がっちゃった。タコさんのはずがよくわからないムンクになりそう。……いいや、胃の中入れば問題無し!キャベツを一枚ずつ剥がして洗って……芯は、まあいいや。食べれるでしょ。ザクザク切る。そうちゃん、私の包丁さばきに見惚れてる……?え?なんでこんな驚いた顔してるんだろう。私そんなに上手いの?「ももちゃん、ここから先は俺が切るよ」「え、何で?」「いや、その……」「焼きそば、すぐ作るから。そうちゃんは座ってスマホでもいじってて?」今日の為に買ってきた可愛いエプロン。この色にして良かった。もしかしてこのエプロンも後から脱がされるとか?いやいや何妄想してんの私。焼きそば作り始めてもう1時間経ってる。早く炒めないと、さっきからそうちゃんのお腹の音が急かしてる。「あっ……つう‼︎」
آخر تحديث : 2026-09-28 اقرأ المزيد