西方都市を出て、しばらく。 街道を外れた二人は、細い獣道のような道を歩いていた。「こっちで合ってるのか?」 トシオが前方を見る。「たぶんねぇ」 ミツコは手にした地図を眺めながら答える。「ハハハ、たぶんかよ」「ワードルさんがくれた地図と、トシオさんが感じてる方向を合わせると……こっちになるものぉ」「なるほどな」 トシオは頷いた。 道は次第に細くなっている。 人が通らなくなってから、かなり経っているのだろう。 草が伸び。 ところどころ木の根が道を覆っていた。「昔は、ちゃんとした道だったのねぇ」「みたいだな」 トシオは足元を見る。 土の下から、古い石畳が顔を出している。「しかし……」「どうしましたかぁ?」「誰が何のために、こんなところに道を作ったんだろうな」「さぁ……」 ミツコは少し考える。「でも、道があるってことはぁ」「ん?」「誰かが、どこかへ行くために作ったんでしょうねぇ」「そりゃそうだ」「だったら……」 ミツコは前を見る。「この先にも、誰かが行きたかった場所があるのかもしれないわねぇ」「……そうだな」 二人は歩き続けた。 ◇ 昼を少し過ぎた頃。 二人は小さな泉を見つけた。「おっ」 トシオが足を止める。「ちょうどいい」「少し休みましょうかねぇ」 二人は泉のそばに腰を下ろした。 ミツコが買い物籠を開く。「何か食べるか?」「ええ」 籠から出てきたのは、おにぎり。「おっ、いいな」「ふふっ」 トシオはおにぎりを受け取る。 一口食べる。「……うまい」 ミツコも隣で食べ始める。 静かな森。 泉の水音。 風に揺れる葉。 しばらく二人は何も話さなかった。 やがて。「ミツコ」「なぁに?」「……みんな、大丈夫かな」「ミーコちゃんたち?」「ああ」 トシオは空を見上げる。「別れてから、結構経ったからな」「大丈夫よぉ」 ミツコは穏やかに答えた。「フィルちゃんも一緒でしょう?」「ああ」「だったら、きっと大丈夫」「そうだな」 トシオは笑った。「フィルなら、腹減ったって言いながら歩いてそうだ」「ふふっ」 ミツコも笑う。「ミーコちゃんに怒られてるかもしれないわねぇ」「それもありそうだな」 二人の笑い声が森へ響いた。 その時。 ――カサッ。
Última actualización : 2026-10-04 Leer más