บททั้งหมดของ じじばばにゃんこと異世界奇譚: บทที่ 141 - บทที่ 150

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封鎖されていた離宮…

 王城正門が、重々しい音を立てながら開いていく。ゴ ォ ォ ォ…… 巨大だった。 白銀の門。 精霊灯。 並ぶ近衛騎士。 中央へ伸びる長い石道。 王都で見てきた建築とは、また違う空気がある。 フィルニアが思わず呟く。「……王城っていうか、一つの街だろこれ」 タマも苦笑した。「まぁ迷うぞ普通に」 ユキは静かに周囲を見ていた。「……変わってない」 ミーコは何も言わない。 ただ静かに景色を見つめていた。 その時。 レクターが前方を歩きながら口を開いた。「本来であれば、王族用区画へ案内する予定でした」 フィルニアが聞き返す。「本来?」「現在、城内も派閥でかなり揉めています」 レクターは淡々と続ける。「そのため、アクアリア様達には別区画へ入って頂きます」 ミーコが少し眉を寄せた。『別区画?』「……旧離宮です」 空気が少し変わる。 タマがレクターを見る。「まだ残ってたのか」「封鎖されていました」 レクターは静かに答える。「王女消失後、長年使われていません」 ミーコの表情が少し揺れる。 旧離宮。 幼い頃。 三人が暮らしていた場所。 ユキも少し目を見開いていた。「……あそこ?」 タマが小さく息を吐く。「懐かしいな……」 その時。 フィルニアだけが話についていけてなかった。「待て待て」「お前ら元々そこ住んでたのか?」『えぇ』「幼少期は、あの離宮で過ごしてたの」 フィルニアが周囲を見回す。「王女の幼少期離宮って、絶対ヤバいデカさしてんだろ」「広かったな」 タマが頷く。 ユキも少し嬉しそうだった。「お庭、すごかったよね」「池もあった」『タマが落ちた』「落ちてねぇ」『泣きながら助け呼んでた』「だから落ちてねぇって!!」 フィルニアが吹き出す。「普通に落ちてんじゃねぇか!」 少しだけ空気が柔らかくなる。 レクターも口元を緩めていた。 そのまま一行は王城内部を進んでいく。 中央本城ではなく、西側区画。 人通りも減り。 静けさが増していく。 やがて。 巨大な白壁建築が見えてきた。 離宮だった。 だが。 かなり広い。 中央庭園。 水路。 回廊。 複数棟。 小規模な屋敷どころではない。 フィルニアが固まる。「なんじゃこりゃ!?」「王女用って規模じ
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久しぶりの団欒…

 離宮内部は、驚くほど綺麗だった。 長年封鎖されていたとは思えない。 白壁。 磨かれた床。 大窓。 静かな回廊。 フィルニアが周囲を見回しながら歩く。「思ったより全然綺麗じゃねぇか」 ベルドが静かに答えた。「最低限の管理は続けておりましたので」「一人で?」「はい」「いや広すぎんだろここ」 タマが頭を掻く。「ベルドさん昔から働きすぎなんだよなぁ……」 ベルドは少しだけ微笑んだ。「いつか戻られると信じておりました」 その言葉に。 一瞬だけ空気が静かになる。 ミーコは回廊の壁へ視線を向けた。 古い絵。 幼い頃の記憶。 ぼんやりとした感覚が蘇る。 その時。「……あ」 ユキが足を止めた。 小さな柱の端。 そこに、薄く傷が残っている。 タマも気付いた。「あー……」『これ……』 ユキが少し笑う。「タマが剣ごっこして怒られたやつ」「違う」『ベルドにめちゃくちゃ怒られてた』「ミーコもやってたろ!?」「ミーコちゃんは途中で止めたもん」「俺だけ!?」 フィルニアが笑う。「普通に落書き小僧じゃねぇか」 ベルドが小さく咳払いした。「……三日掃除でした」「うわぁ」 タマが遠い目になる。 そのまま一行は食堂へ案内される。 広かった。 長机。 巨大暖炉。 高窓。 だが本来の大食堂ではない。 家族用に近い空間だった。 ミツコが少し安心したように笑う。「落ち着くねぇ」「昔はここで皆食べてたんだよ」 ユキが説明する。 フィルニアは椅子へ座りながら周囲を見回した。「王族ってもっと堅苦しいイメージあった」 タマが笑う。「本城側は堅いぞ」「ここは離宮だからな」 その時。 料理が運ばれてきた。 魚料理。 肉料理。 スープ。 焼き野菜。 大量だった。 トシオの目が少しだけ鋭くなる。「魚だ」 フィルニアも即反応する。「肉だ!!」…………… タマが呆れた顔になる。「分かりやすすぎだろお前ら」 ミツコが楽しそうに笑う。「いっぱいあるねぇ」 ベルドが静かに料理を見つめる。「……また、この席へ皆様が座る日が来るとは」 ミーコは静かに食卓を見る。 昔。 ここで。 三人で騒いで。 怒られて。 笑っていた。 その記憶が、少しずつ戻ってくる。 その時。 ミツコ
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離宮の夜…

 食事が終わる頃には。 外は完全に夜になっていた。 王都の灯が窓の向こうで揺れている。 離宮の中は静かだった。 だが。 その静けさは、昔とは違う。 どこか温かい。 人の気配が戻った静けさだった。「ふぃ〜……食ったぁ……」 フィルニアが椅子へぐったりともたれかかる。 タマが呆れ顔になる。「食いすぎなんだよ」「トシオの方が食ってたぞ」「それは否定できねぇ」 その横で。 トシオは腕を組みながら満足そうに頷いていた。「魚うまかった」「肉も最高だったぞ!」 なぜか二人とも妙に誇らしげだった。 ミツコが苦笑する。「いっぱい食べたねぇ」 ベルドは静かに食器を下げ始めていた。 その動きは慣れたものだった。 すると。『ベルド』 ミーコが声を掛ける。『手伝う』「いえ」『やる』 即答だった。 ベルドが少し困った顔になる。 ユキも立ち上がる。「私もやるよ」「じゃあ俺も」 タマも続く。 ベルドが小さく目を見開いた。「……皆様が、そのような事をされる必要は」『家族でしょ?』 ベルドが止まる。 しばらくして。 小さく頭を下げた。「……ありがとうございます」 そのまま。 食堂は少し騒がしくなる。「フィル、皿持て」「なんで俺様まで!?」「食った量考えろ」「ぐっ……」 ミツコが笑いながら布巾を持つ。「はいはい、落とさないでねぇ」 トシオは巨大な鍋を片手で持ち上げていた。 ベルドが少し焦る。「と、トシオ様、それは重――」「平気」 軽々と運ばれていく鍋。 ベルドが静かに目を瞬かせる。「……見事な腕力でございますね」「ん?」「いえ」 食器を片付け終える頃には。 食堂の空気は完全に和んでいた。 そして。 暖炉へ火が入る。 ぱちり。 薪が弾ける音。 皆、自然と暖炉前へ集まっていた。 長旅だった。 王都へ入ってからも気が張っていた。 ようやく一息つける。 そんな空気だった。 ミツコが暖炉の火を見つめながら呟く。「綺麗だねぇ」 赤い火が揺れる。 その光が皆の顔を照らしていた。 フィルニアは床へ座り込みながら伸びをする。「なんか離宮って感じしねぇな」「どっちかっていうと家だな」 タマが答えた。 ユキも頷く。「うん……昔もこんな感じだった」 ベルドが静かに暖炉
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王都での朝…

 朝。 離宮の窓から柔らかな光が差し込んでいた。 王都の朝は早い。 遠くから鐘の音が聞こえる。 市場の準備。 城門の開閉。 兵士達の交代。 王都そのものが少しずつ目を覚ましていく。 その頃。 離宮の厨房では既に火が入っていた。 ことこと。 鍋が静かに煮えている。 湯気が立ち上る。 香草の香り。 焼きたてのパンの匂い。 ミツコは木匙でスープを混ぜながら、小さく笑っていた。「いい香りだねぇ」 隣ではベルドが無言で野菜を切っている。 包丁の動きに一切無駄が無い。 綺麗だった。 ミツコが感心したように見る。「ベルドさん、お料理上手なんだねぇ」「長年やっておりましたので」「一人で?」「はい」「大変だったでしょう?」 ベルドの手が少しだけ止まる。 だが。 すぐ静かに動き始めた。「……慣れております」 短い返答だった。 けれど。 その声には長い年月が滲んでいた。 ミツコはそれ以上聞かなかった。 代わりに。 ふわりと笑う。「今日はいっぱい作ろうねぇ」「皆よく食べるから」 ベルドの口元がわずかに緩む。「ええ」「特に男性陣は」 その時。 厨房入口から低い声がした。「魚あるか」 トシオだった。 起きたばかりらしく髪が少し乱れている。 ミツコが笑う。「おはよう」「おはよう」「朝から魚なの?」「魚は朝だろ」 ベルドが静かに答えた。「焼き魚を用意しております」「いいな」 即答だった。 その直後。「肉は!?」 別方向から飛び込んできた声。 フィルニアだった。 まだ半分寝ているような顔なのに、肉という単語だけは聞き逃していない。 タマが後ろから呆れ顔で現れる。「お前の耳どうなってんだ」「肉の気配は分かる」「野生か」 ユキも眠そうな顔で入ってきた。「おはようございます……」 ミーコはその後ろを静かに歩いている。 ベルドは皆を見回し、小さく頭を下げた。「おはようございます」 その声に。 ユキが少しだけ嬉しそうに笑った。「なんか懐かしい」「朝になるとベルドがいたよね」「はい」「起床前には既に」 タマが苦笑する。「寝てた記憶ないもんなぁ」「必要ありませんでしたので」「いやあるだろ必要」 フィルニアが席へ座る。「離宮っていうか普通に家だよなここ」
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王城への招待…

 昼前。 離宮の空気は朝とは違っていた。 静かではある。 だが、どこか張り詰めている。 王城からの正式使者が来る。 それはつまり。 王族としての“帰還”が、王国側へ正式に認められるという事だった。 広間ではベルドが数人の使用人へ指示を出している。「応接室の準備を」「茶器は第二客間用を」「本城側の人数次第では席を追加してください」 慌ただしい。 だが乱れは無かった。 長年、離宮を守り続けてきた男の仕事だった。 その頃。 二階客室では。「……なんでこんな服なんだよ」 タマがげんなりしていた。 鏡の前。 現在、完全に着替え途中だった。 濃紺の礼装。 銀刺繍。 ライガル家の紋章が入った正装だった。 だが。 本人は猛烈に嫌そうだった。「肩重ぇ……」「似合ってるよ?」 ユキが苦笑する。 ユキ自身も白基調の落ち着いた衣装へ着替えていた。 金糸の装飾。 薄い羽織。 派手ではない。 だが気品があった。 ミーコは静かに自分の袖を見る。 淡い蒼銀色。 レイシス王家の色。 胸元には小さな王紋が入っている。 どこか懐かしかった。 昔、着ていた。 そんな感覚だけが残っている。「うわぁ……」 フィルニアが感心したように眺める。「マジで王族って感じするな」「フィルも着替えろ」「なんで俺様まで」「客人だからだよ」「めんどくせぇ……」 そう言いつつ。 既に着替え終わっていた。 黒と赤を基調にした竜人族側の礼装。 軽装寄りではあるが、高位竜人特有の装飾が入っている。 タマが苦笑する。「孫にも衣装だな……」「どういう意味だコラ」「褒めてる褒めてる」「絶対違ぇだろ」 一方その頃。 別室。 トシオは着替えを拒否していた。「これでいい」 作務衣だった。 いつもの。 完全にいつもの。 ベルドが静かに困っている。「……トシオ様」「ん?」「本日は王城側との正式会談でございます」「知ってる」「もう少し、その……格式を」「動きづらい」 即答だった。 ミツコが横で笑いを堪えている。「でも似合ってるよぉ?」「だろ」 ベルドが遠い目をする。 説得が通じない。 だが。 不思議と誰も“失礼だ”とは思わなかった。 むしろ。 これがトシオだった。 その時。 外から鐘の音が響
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白銀議事堂…

 午後。 王都中央区。 白銀議事堂――。 レイシス王国の政治中枢の一つであり、貴族議会が開かれる巨大建築だった。 白い石造り。 高い尖塔。 幾重にも重なるアーチ。 正面階段の左右には獅子像が並び、中央には巨大な王紋が刻まれている。「でっか……」 フィルニアが素直に呟いた。 離宮から王城方面へ移動してきた一行は、現在議事堂前に立っていた。 周囲には近衛兵。 文官。 貴族関係者。 そして野次馬。 既に“王族帰還”は王都全域へ広がっている。 そのせいか。 一行へ向けられる視線の量が凄まじかった。 ユキが少し緊張したように息を吐く。「見られてるね……」「まぁそりゃな」 タマも苦笑する。 失踪した王族。 しかも十数年ぶり。 王都からすれば歴史的事件だ。 ベルドは静かに前へ出る。「こちらになります」 ヴェルクも近くへ来ていた。 宰相という立場上、今日は案内役も兼ねているらしい。「議会側には既に説明済みです」「ただ……」 ヴェルクが少し言葉を選ぶ。「かなり動揺しております」「まぁ急だもんな」 タマが肩を竦めた。 フィルニアは周囲を見回しながら呟く。「なんかピリピリしてんな」「政治の場ですから」「俺様あんま好きじゃねぇなこういう空気」「珍しく同意だわ」 ヴェルクは静かに前を向いたまま言う。「本日は議会だけでなく、多数の貴族関係者も来ています」「皆様の帰還は、それほど大きな出来事なのです」 そのまま一行は議事堂内部へ入る。 中は更に広かった。 赤い絨毯。 巨大柱。 高い天井。 壁には歴代王家の肖像画が並んでいる。 ミーコはゆっくり周囲を見る。 知らない。 でも。 どこか懐かしい。 そんな不思議な感覚だった。 すると。「……アクアリア様?」 後方から声がした。 ミーコが振り返る。 一人の老獣人女性だった。 白髪。 小柄。 だが服装は上質で、貴族階級だと分かる。 彼女は震える目でミーコを見ていた。「本当に……」「生きて……」 ミーコは少し戸惑う。 だが。 その女性は次の瞬間、涙を浮かべた。「良かった……」「本当に良かった……!」 周囲の空気が変わる。 ヴェルクが静かに説明した。「マルグリット伯爵夫人です」「昔、王妃様と交流が深かった方です」
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王城への道…

 議会が終わった頃には。 外は夕方へ近付いていた。 白銀議事堂の高窓から、橙色の光が差し込んでいる。 長時間の会談。 慣れない空気。 張り詰めた視線。 流石に疲労も大きかった。「……疲れた」 タマが議場を出た瞬間に呟く。「肩凝るわこういうの」「分かる」 ユキも苦笑していた。 フィルニアは首を鳴らす。「俺様、戦場の方が気楽だぞ」「お前基準にすんな」 ミーコは静かに廊下を歩いていた。 まだ少し頭が整理できていない。 議会。 貴族。 王都。 皆の反応。 思っていたよりも、ずっと温かかった。 すると。 後ろから足音が近付いてきた。「皆様」 ヴェルクだった。 相変わらず落ち着いた表情だが、少し疲れも見える。「本日はありがとうございました」 ユキが首を振る。「こちらこそ」「思ったより怖くなかったです」 ヴェルクの口元がわずかに緩む。「それは恐らく、皆様自身のお人柄でしょう」「警戒していた方々も、途中から空気が変わっておりました」 タマが頭を掻く。「そんなもんかね」「ええ」 ヴェルクは少し間を置き、続けた。「……特に、最後の言葉は大きかった」 ミーコとユキを見る。「飾らなかった事が良かったのでしょう」 ミーコは少しだけ視線を落とす。 上手く話せた自信は無い。 でも。 嘘だけは言いたくなかった。 その時。 フィルニアが呟いた。「腹減った」「お前はそれしかねぇのか」「長かっただろ普通に」 ヴェルクが小さく息を漏らす。「既に離宮へ夕食の準備を伝えております」「マジか!」 フィルニアの顔が一気に明るくなる。「やった!!」「現金すぎるだろ」 だが。 その空気のおかげか。 重かった空気が少し和らいだ。 その時だった。「お待ち下さい」 別方向から声がした。 一行が振り返る。 数人の貴族達だった。 年齢は様々。 老人。 中年。 若い者もいる。 だが先程の議場とは違い、どこか柔らかな雰囲気だった。 先頭にいた老婦人が静かに頭を下げる。「突然申し訳ありません」「少しだけ、お話を」 ヴェルクが確認するようにミーコ達を見る。 ミーコは小さく頷いた。 老婦人は静かに口を開く。「皆様のお母上には、昔よく助けて頂きました」 ミーコが顔を上げる。「貴族同士の
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王都の夜景の瞬き…

夜。 離宮は静かだった。 王都中心部から少し離れているせいか、昼間の喧騒も届かない。 窓の外には夜風。 庭園には淡い魔導灯が灯り、白い石畳を柔らかく照らしている。 夕食後。 一行は広間でゆっくりしていた。 流石に今日は全員疲れている。 議会。 視線。 会談。 慣れない空気。 精神的な消耗が大きかった。 トシオは椅子へ深く座りながら茶を飲んでいる。 ミツコはその隣。 フィルニアはソファへ寝転がっていた。「……動きたくねぇ」「お前ずっと元気だったろ」 タマが呆れる。「精神的疲労と腹減りは別問題だ」「なんだその理論」 ユキは少し笑いながら本をめくっていた。 離宮書庫から借りてきたらしい。 ミーコは窓際へ座り、外を眺めている。 王都の灯。 夜空。 まだ現実感は薄い。 本当に戻ってきたのだと、少しずつ理解している途中だった。 その時。 コンコン。 控えめなノック音が響く。 ベルドだった。「失礼致します」「おぉベルドさん」 タマが手を上げる。 ベルドは一礼し、静かに部屋へ入った。「皆様へお届け物が」「届け物?」 ユキが首を傾げる。 ベルドの後ろには使用人達が並んでいた。 そして。 大量だった。「多くない!?」 タマが思わず立ち上がる。 箱。 花。 包み。 籠。 机へ置き切れない。 フィルニアも起き上がる。「なんだこれ」 ベルドが静かに答えた。「本日、王都各所から届いた贈り物です」「皆様の帰還祝いとして」 一瞬、部屋が静かになる。 ミーコが目を瞬かせた。『……全部?』「はい」「まだ一部ですが」「まだあんの!?」 タマが驚愕する。 ベルドは頷いた。「菓子店」「商会」「貴族家」「市民組合」「様々な方々から」 ユキが少し困ったように笑う。「すごいね……」 フィルニアは既に一つ開けていた。「お、肉」「勝手に開けんな」「食うなとも言われてねぇ」「今言ったわ」 ミツコが笑いながら箱を見る。「綺麗なお花もいっぱいだねぇ」 その中には手紙も多かった。 “お帰りなさいませ” “ご無事で良かった” “王都へ戻ってきて下さりありがとうございます” 短い言葉ばかり。 だが。 そこに悪意は無かった。 ミーコはそっと一通を読む。 子供の字だ
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散策と記憶…

翌朝。 離宮の食堂には、焼きたての香りが広がっていた。 パン。 卵料理。 焼き魚。 温かなスープ。 朝日が大窓から差し込み、白い食卓を柔らかく照らしている。 フィルニアは既に三枚目のパンを食べていた。「うま」「朝から食い過ぎだろ」 タマが呆れる。「成長期だからな」 トシオが茶を飲みながら頷く。「そうか、どんどん成長してくれ」「じーちゃん甘くね?」「食うのは大事だ」 ミツコがお茶を注ぎながら笑う。「いっぱい食べるのは良い事だよぉ」「ばーちゃんは甘い」「フィルちゃん分かりやすいからねぇ」 ユキは窓の外を見ていた。 今日は雲一つない晴天だった。「いい天気だね」 すると。 トシオが不意に言った。「王都見に行くか」 一瞬、食堂が止まる。「……え?」 ミーコが顔を上げる。「散歩だ散歩」「せっかく戻ってきたんだろ」 タマが少し驚いた顔をする。「じーちゃんから言うの珍しくね?」「昨日ずっと中だったしな」 フィルニアが即座に反応した。「行く!!」「お前絶対そう言うと思った」 ユキも少し嬉しそうに笑う。「私も見てみたい」 ベルドは少し考え込む。「護衛を増やしますか?」「大袈裟なのはいらん」 トシオが即答する。「普通に歩きたい」 ヴェルクからも、最低限なら問題ないと許可は出ているらしい。 ただし。 目立つのは避けられない。 そのため。「変装とかする?」 ユキが聞く。 タマがミーコを見る。 ミーコは首を傾げた。『無理じゃない?』「まぁ隠し切れねぇよな」 フィルニアは普通に言った。「俺様そのままで行く」「お前隠す気ゼロだろ」 結局。 最低限だけ整え。 比較的簡素な服装で出る事になった。 そして。 数十分後。 一行は王都中央街区へ来ていた。「うわぁ……」 ユキが思わず声を漏らす。 賑やかだった。 石畳の大通り。 露店。 商店。 行き交う人々。 獣人族だけではない。 鳥人族。 森精族。 少数だが他国種族の姿も見える。 香辛料の匂い。 焼き菓子。 笑い声。 王都は、生きていた。 フィルニアはキョロキョロしていた。「すげぇなここ」「帝都と違う?」 ユキが聞く。「全然違ぇ」「ヴォルグラードはもっと武骨だぞ」「飯は?」「肉は向こう」
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王城からの使者…

 夜。 離宮の食堂では、遅めの夕食が続いていた。 王都散策の疲れもあり、皆どこか気が抜けている。 フィルニアは巨大肉串をまだ食べていた。「まだ食ってんの!?」 タマが呆れる。「冷めても美味いぞこれ」「そういう問題じゃねぇ」 ミツコは笑いながら皿を並べていた。「いっぱい歩いたもんねぇ」 ユキは今日買った布を広げて見ている。 淡い銀糸が灯りを受けて綺麗に輝いていた。 ミーコは窓の外を見ていた。 王都の夜。 賑わい。 人々の声。 少しずつ。 本当に戻ってきたのだと実感し始めている。 その時だった。 コンコン。 扉が叩かれる。 ベルドが静かに入ってきた。「皆様」「王城から使者が来られております」 空気が変わる。 フィルニアの咀嚼音だけ響いた。「……んぐ」「お前は食うの止めろ」 タマが突っ込む。 ベルドは続けた。「国王陛下からの正式招待状です」 ミーコ達の表情が変わる。 王。 つまり。 現在のレイシス王国最高権力者。 まだ記憶に輪郭は無い存在だった。 ユキが静かに聞く。「……明日ですか?」「いえ」 ベルドは首を振る。「三日後になります」「皆様を正式に王城へ迎えたいとの事です」 タマが腕を組む。「ついに来たか」 フィルニアは普通に聞いた。「飯出るか?」「ご馳走確定だな」「お前はそこ固定なんだな」「大事だろ」 トシオは静かに茶を飲んでいた。 ベルドが一通の封書を差し出す。 白銀の封。 王家紋章入り。 かなり格式が高い物だった。 ミーコは少し迷いながら受け取る。 重かった。 紙なのに。 妙な重みがある。 ゆっくり開く。 中の文字は綺麗だった。『アクアリア=ヴァル=レイシス殿下』『並びにライガル家御息女・御子息へ』『王城にて、正式に帰還歓迎の席を設けたく思う』『レイシス王国国王』『フェルディオ=ヴァル=レイシス』 静かな空気になる。 ミーコはその名前を見つめていた。 記憶の奥が、微かに揺れる。 だが。 まだ霧が掛かったままだった。「……親族?」 ユキが小さく呟く。 ベルドが頷いた。「陛下は、ミーコ様方のお父上の弟君にあたります」 ミーコ達が少し驚く。 つまり叔父だ。 タマが眉を上げる。「王様ってそんな近かったのか」「はい」「で
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