王城から正式招待が届いた翌日。 離宮は朝から少し慌ただしかった。「採寸?」 タマが嫌そうな顔をする。 広間には数人の仕立て職人が来ていた。 王城直属。 王族衣装を担当する者達らしい。 ベルドが静かに説明する。「三日後の正式謁見に向け、礼装準備が必要との事です」「王城側から派遣されました」 ユキが少し緊張したように服を見る。 机には大量の布地。 銀糸。 刺繍見本。 王家紋章。 かなり本格的だった。「……すごい」 フィルニアは布を触りながら言う。「これ高いやつだな」「分かるのかよ」「竜装束も高ぇからな」 職人達はかなり緊張していた。 当然である。 失踪していた王族。 その帰還直後。 しかも本人達の礼装制作。 国単位の大仕事だった。 その中の年配女性職人が、震えながら頭を下げる。「本日は、皆様の礼装を担当させて頂きます」「どうぞよろしくお願い致します」 ミーコは少し慌てる。『そんな固くならなくていいよ?』「い、いえしかし……!」 逆に緊張が増した。 タマが苦笑する。「まぁそうなるよな」 その時。「俺様、動きやすいやつがいい」 フィルニアが即注文する。「あとメシ食いやすいやつ」 タマが即座に頷く。「そうそう、汁物飛ばしても分かりにくいやつ……って、そこ重視なんかよ」「重要だろ」 職人達が困惑していた。 ユキが慌てて補足する。「えっと……出来れば軽めでお願いします」「動きやすい方が助かるかなって」「承知しました!」 職人達が一斉にメモを始める。 タマは椅子へ座りながらぼやいた。「なんか一気に王族感出てきたな……」 すると。 ベルドが静かに言う。「元々王族です」「それはそう」 採寸は順番に始まった。 まずユキ。 女性職人達が囲む。「お綺麗……」「凄くお似合いになりそう……」 小声が漏れていた。 ユキは少し困った顔をする。「そんな大袈裟な……」「いえ、本当に!」「白銀系のお色が映えますね……!」 ユキは少し照れたように視線を逸らした。 次。 タマ。「失礼します」「うわ待っ、くすぐってぇ!」「動かないで下さい!」「無理だって!」 フィルニアが爆笑している。「弱っ!」「うるせぇ!!」 職人達も少し笑っていた。 場が和み始めている。
Last Updated : 2026-09-22 Read more