王都を出発して三日。 一行は北街道を順調に進んでいた。 空は青く晴れ渡り、風も心地良い。 旅をするには申し分ない天気だった。 御者席ではトシオが手綱を握っている。 隣にはタマ。 馬車の中ではミツコ達がのんびりしていた。「平和だなぁ」 タマが空を見上げながら呟く。「そうだな」 トシオも頷いた。 王都へ来てから色々あった。 記憶の回復。 離宮での生活。 両親の痕跡。 気付けば慌ただしい日々が続いていた。 だからこそ。 こうして街道を進む時間が妙に心地良い。 その時だった。 後ろからフィルニアの声が聞こえる。「退屈だ、まだ着かないのか?」「知らねぇよ」 タマが即座に返した。「旅ってのは移動時間も含めて旅なんだ」「だが退屈だ」「我慢しろ」「たまに体を動かさないとな!」「だから知らねぇって」 馬車の中から笑い声が聞こえた。 ミツコも苦笑している。「元気だねぇ」「ほんとだよねぇ」 ユキも呆れる。 そんな穏やかな時間。 突然だった。「助けてくれぇぇぇ!!」 遠くから悲鳴が聞こえた。 全員の表情が変わる。 トシオが手綱を引く。 馬車が止まった。「今のは」「あっちだ!」 タマが立ち上がる。 街道の少し先。 荷馬車が見えた。 数人の村人達が慌てている。 その周囲を暴れ回っている巨大な影。「魔獣か」 トシオが目を細める。 巨大な角猪だった。 通常種より一回り大きい。 興奮状態なのか荷馬車へ何度も突進している。 ドガァン!! 荷馬車が大きく揺れた。「来た!」 フィルニアが勢いよく飛び降りる。「お前嬉しそうだな!?」 タマも続いた。「久しぶりだからな!」「理由になってねぇ!」 二人は一気に駆け出した。 ミーコ達は村人達の方へ向かう。『こっち!』「こちらへ!」 ユキが村人達を安全な場所へ誘導する。 ミツコも怪我人を確認していた。「大丈夫?」「は、はい!」「怪我はないです!」 角猪がフィルニアへ向かって突進する。 ドドドドドドッ!! 地面を揺らしながら一直線。 だが。 フィルニアは笑っていた。「おらぁぁぁっ!!」 ズガァァァァンッ!!! 拳が真正面から炸裂する。 角猪の巨体が宙を舞った。「えぇっ!?」「飛んだぞ!?」 村人達が悲鳴を上
Last Updated : 2026-09-22 Read more