かつて和葉は、自分を救うために子宮を激しく損傷した。だから誓ったのだ。生涯大切にする、一生子どもは作らない、と。それなのに、一生どころか、こんなにも早く、ふたりは生と死に引き裂かれてしまった。暁人は同じ姿勢のまま、一晩を明かした。考えはもうまとまっていた。和葉の両親は海外にいるから、航空会社からもすぐには連絡がつかないはずだ。人を使って手を回せば、きっと遺品を手に入れられる。まずは彼女の葬儀を執り行う。舞来の子どもなど、どうでもいい。自分は一生、和葉のそばにいるのだ。心を決めて部屋を出ると、執事が慌てて駆け寄ってきた。「社長、ようやく出てきてくださいましたか。菅沢様が大変なんです!」「なんだ?」暁人は眉をひそめた。今は、そういう話を聞きたい気分ではなかった。「菅沢様が体調を崩されて、お腹の張りもあるそうで、入院されました!当主様が、すぐに来るようにと!」暁人はしばし黙り込んだが、結局は病院へ向かった。着いてみると、舞来はICUのベッドでうめき声を上げていた。両親はその前を落ち着きなく行ったり来たりしている。「だから言ったのよ、和葉はろくでもない女だって。死んでまで舞来ちゃんに祟るなんて!自分が子どもを産めないだけならまだしも、いつも舞来ちゃんを目の敵にして、いったい何なのよ!」美郷が嘆いた。和葉が自分のために子宮を損なったことは、これまで星山家には伏せてきた。けれど今、これ以上彼女に濡れ衣を着せたくはなかった。暁人は低い声で切り出した。「子どものことだけど、和葉は前に……」その言葉を遮るように、医師がICUから出てきた。「菅沢舞来さんのご家族の方!妊婦さんは母子ともに問題ありません。今日このまま退院できますよ」背を向けながら、医師はぼそりと呟いた。「まったく、何ともない妊婦さんをICUに入れて、ベッドを占領して……」そのひと言が、暁人の耳に引っかかった。両親とともに舞来を迎えに行こうとしていた足が止まる。暁人は訝しげに振り返り、医師を呼び止めた。「今、なんて言いました?」医師は一瞬きょとんとした。「あなたがご家族ですか。妊婦さんはどこも悪くありませんよ。次からはこんな大騒ぎしないでください」そう言い残すと、医師は別の病室へ急いでいった。ガラス越
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