相変わらず、クラスの中の空気はギスギスしていてとても居心地が悪い。 朝のホームルームの前の時間や昼休み、果ては10分休憩の時間までその空気はピリピリしている。 誰も俺に話しかけてこないし、変に目を合わせようともしない。みんな、スマホの画面に釘付けになるか、窓の外を眺めるかして、見えない境界線を引いていた。 特定の誰かに事情を説明したらいいのだったら話は早いのだけど、ギャル市東さんとか委員長とかキーパーソンはいるものの、俺が対峙しているのはクラス全体だ。 言ってみれば「空気」なのだ。 例の「公開裁判」の後は誰も俺に接触してこなくなったので、こちらからアクションを起こすのも変な感じなのだ。腫れ物に触らないというのを、これでもかとリアルに肌で感じている。 木村は……。 席から木村に視線を送ってみる。 助けを求める視線だ。 彼は小さく肩をすくめるジェスチャーで「難しいねぇ」って反応を返されてしまった。 クラスの中心的グループにいる彼ほどの影響力がある人間でも、こうなってしまったクラス全体の空気を変えるのは荷が重いらしい。 こうなった原因のリカの方を見ると……。 俺とふと目が合うと、あからさまにびくっと反応し、慌てて視線を逸して机の上の教科書に顔を近づけてしまう。 向こうは向こうで、少しでも周囲から追求されたら自分のついた嘘が完全に公になってしまうので、めちゃくちゃ気まずい状態なのだろう。 こちらから動くこともできず、向こうも積極的に動けない状態。周囲の生徒たちも、ただ気まずいながらも遠巻きに見守るという、まさに身動きの取れない膠着状態だった。 その膠着状態に風穴を開けるきっかけは、本当にほんの些細なことだった。パンパンに膨らんだ風船に、たった一本の鋭い針を突き刺すと一気に破裂するように、すべては突然やってきた。 放課後に、如月アヤノさんがうちのクラス、1組の教室を覗きに来たのだ。 俺も最近はすっかり教室内で動きにくくなっていて、放課後の卒アル委員の仕事に行きにくくなっていたから、その様子を心配して見に来てくれたのだろう。 もちろん、全校に広まった「アヤノさんに好きな人が『いる』……もしくは、『いた』」という話のインパクトも影響しているらしく、廊下を歩く彼女に教室の視線が一斉に突き刺さる。 教室のドアは開いていたので、ちょっと覗いただ
آخر تحديث : 2026-10-01 اقرأ المزيد