All Chapters of 転生伯爵令嬢ですがどうやら乙ゲーの世界でした: Chapter 1 - Chapter 10

21 Chapters

目覚め

ー痛い。転んだのなんていつぶりだろう? 木の板の床に上体を起こしぶつけた膝を見る。 そこで違和感を覚える。 見える膝は赤く擦りむいている。違和感はそこでなく視界の足はガリガリで棒のようで小さい子供のようだった。 手を見ても同じくガリガリの小さな手で、薄汚れていた。 着ている服は裾の短いボロボロのワンピースで、見渡した部屋は狭く6畳程度の広さだった。 見るからに硬そうなベッドに人が横たわっていた。 小さな棚にタンスが置いてあり、これもまたボロボロだった。 ベッドではガリガリの女性が横たわり、眠っているようだ。 長い髪は艶もなくパサパサして肌もくすんでいるが、美しい女性のようだ。 ひび割れた窓に映るのは、ベッドの女性に似た5歳程度の少女だった。その姿を見た瞬間見慣れた自分の記憶が次から次に流れ込み痛み出した頭を手で抑え目を閉じた。 痛みはどんどん増し意識を手放した。 目を覚ますとベッドにいて隣には眠っていた女性がいた。 女性の横は心地よく癒されるような感覚を覚えた。 意識がない間に脳が整理され今の状況を理解した。 隣の女性は私の現世での母親イリス・アマリリス。 癒しの魔法を使うアマリリス伯爵家当主。なのだが、イリスの夫が半年前に愛人と愛人との間に産まれた子供を連れてきてイリスと私ことキリア・アマリリスを離れに閉じ込めた。 前世の記憶が戻った今は何が起こってるかわかるが、戻る前はわからなかっただろう。 1年前イリスの前夫はモンスターの討伐に参加し帰らぬ人になった。イリスとキリアの事を心配した前伯爵(キリアの祖父)が、新しく結んだ結婚で前伯爵が領地で過ごすためここを出たのが半年前。 新しい夫は直ぐ様愛人と愛人との間に産まれた娘と柄の悪い男達を連れ、屋敷を占拠した。 イリスとキリアは離れに監禁され半年が経って、まともな食事もなくイリスは身体を壊した。 まだお迎えが来ないのは、イリスの魔力が癒しの魔力だからだ。 キリアの怪我も綺麗に治っているのもイリスの魔力のおかげなのか、自身の魔力かはわからないが2人に傷がないのは癒しの魔力のおかげだろう。 ただ魔力じゃお腹は満たされない。 執事や乳母がゴロツキ達の目を盗んで僅かな食事を時々届けてくれる。 ここに来る使用人の怪我が増えて行く。 「もうすぐ前伯爵がきてくれます。それまで頑張っ
last updateLast Updated : 2026-09-28
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王弟との出会い

魔法の練習を始めて1ヶ月程たった。 キリアの魔力や回復魔法で元気を取り戻したイリスは、日に日におしゃべりになった。 父とは王命で結婚したこと。 回復魔法を使える者は少なく、魔力は遺伝する為癒しの魔力を持つアマリリス家の保護の為だったそうだ。 父は平民だが魔力量が多く、魔法の才があり宮廷魔導師として活躍し、自分の力で男爵になった。 見目も良かった為色んな貴族が釣書を送り一族に取組もうとしたらしい。 上位貴族以外年々魔力量は減り、使える魔法も初歩的なもので、魔力があっても発動出来ない者が増え、貴族達は平民でも魔力量が多い者を迎え入れていた。 新しい父は魔力はあるが初歩的な魔法すら使えなかったそうだ。 イリスも魔力量が少なく初歩的な魔法しか使えなかった。 「キリアはお父様に似て魔力量も多く銀髪ね。顔はお母様に似てるわ」頭を撫で嬉しそうに微笑んだ。 キリアは魔力コントロールの為ハンカチを浮かせ維持する練習をしている。 キリアから漏れた魔力がボロボロだった部屋を少しずつ修復して、すき間風や窓のひび割れはなくなった。 ボロボロの部屋から薄汚れた部屋になった。 そんな暮らしもある日突然終わった。 離れに来て7ヶ月程。その日は太陽が昇る前に騒がしくなり、悲鳴や怒号が聞こえ、イリスに護るように抱きしめられた。 ドアがバンッと開けられ執事と鎧を着た騎士達に屋敷に案内された。 久しぶりに見た使用人達はキリア達にも負けないくらい痩せていた。 その使用人達にお風呂に入れられ身綺麗にされ、ブカブカしたワンピースを着せられた。 互いに無事で良かったと声をかけ、安堵の涙を流す。 回復魔法は既にマスターしているキリアは、使用人達の恐らく殴られたり蹴られたりした怪我を治療した。 使用人達の恐縮しながらも感動しているのに混乱しながら、身綺麗にしてくれた4人の治療を終えた。 ソファーでサンドイッチとオレンジジュースを頂き足をプラプラさせていると、ブカブカのドレスを着て化粧をしたイリスに手を引かれ執務室に入った。 中には初老の前伯爵と騎士服を着た見目麗しい男性2人がいた。 前伯爵のギムレットはイリスとキリアを抱きしめ「無事で良かった。来るのが遅くなってすまん」と涙した。 「お父様また会えて嬉しい」とイリスも涙を流した。 ギムレットとイリスにムギュムギュと抱
last updateLast Updated : 2026-09-28
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天才とは?

ギムレットが3回目の中級回復魔法をかけ膝をつく。 魔力がほぼ残ってない。 イリスも既に魔力切れだ。 ギムレットやイリスの魔法を見て魔法が分散している事に気づく。 集中して見ていたせいで魔力が目に集中していた。 魔力が集中して目に集まったおかげで、ジェットの破裂した場所が見れる。 あの部分を治してお腹に流れた血を血管に戻せば良いんじゃ? 「私にもやらせて」とキリアが言う。 騎士達は戻りここにはランスが残っている。 上級ポーションをとりにいった騎士はまだ戻らず、回復魔法を使える者は魔力が尽きた。 ランスは上級ポーションが届くまでの回復と考え許可を下した。 怪我の治療を見ていたランスはキリアが回復魔法を使うのを見ていた。 キリアはジェットの破裂した場所の上に手を置き、癒しの魔力を流していく。 腎臓の周りに癒しの魔力を送り回復魔法を使わず、少しずつ治療していく。お腹に溜まった血を魔力を使い体内に戻しつつじっくりと腎臓を修復していく。 腎臓の修復と溜まった血を体内に戻し終えると体内に流した癒しの魔力を使い回復魔法をかけた。 その様子を鑑定の魔道具を使っていた医者が食い入るように見ていた。 キリアが回復魔法を使い終えると大きな声で 「治った?」と言った。 魔道具を使い診察を繰り返す。 医者以外何が起きているかわからず、興奮した医者からは「その子は凄い。天才だ!」とキリアを褒めることしかしていない。 落ち着いた頃にランスが医者から話しを聞く。 医者は鑑定の魔道具で見たことを伝えた。 「こんな事は癒しの魔力を持つアマリリス家しか出来ない!」と医者は言い切った。 「ジェットは治ったんだな?」 「ええ。もう大丈夫ですよ」 医者が大きく頷く。 「回復魔法は良くわからんがこの子が凄い事をやった事はわかった」 医者達が話してると、ジェットが目を覚ました。 「ご気分は?」イリスが尋ねると身体を少し動かして見た後で「大丈夫みたいです」と答えた。 ぐるぐると気持ち悪い感覚と痛みは無くなり、普段とかわりないように思える。 「動いて大丈夫ですよ」と医者に言われジェットは立ち上がる。 身体は何ともない。 ジェットが軽く身体を動かしていると上級ポーションを持ってきた騎士が飛び込
last updateLast Updated : 2026-09-28
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王様

それから1週間イリスもキリアも元気を取り戻しつつあり、使用人達もキリアに怪我を治療して貰い少しずつ前の生活が戻ってきた。 そんな時に城から登城せよと使者が来た。 ギムレットはキリアを連れ王の間に参じた。 王様の前で膝をつき王様の声を待つ 「楽にせよ」王様自ら声をかけられ立ち上がる。 「お久しぶりです陛下。此度のお力添えありがとうございます」ギムレットが腰を折り感謝を伝える。 「こちらは孫のキリアです。娘はまだ体調が戻らず登城できませんでした」 「アマリリス伯爵家が娘キリアでございます」 舌足らずの喋り方で微笑ましいその姿はその場にいた者達の心を和ませた。 「5歳と聞いておるがしっかりしておるな」柔らかい眼差しを向けられる。 宰相のロベルト・キャロットから事件の全貌が伝えられた。 「ドリセスは既に保釈金を支払いジンジャー侯爵家が引き取りました。愛人は炭鉱で5年の判決が下され、娘は孤児院に送られました」 「不服はあろうが、あいつらが使った財はジンジャー侯爵が支払い、離婚とそれに対する慰謝料と今回の損害を負担させる事に同意した」 「ありがたく」王様の声にギムレットが頭を下げ了承した。 「騎士の治療をしたと聞いた。上級ポーションを使う程のものを治療し治したと」 恐らくこちらが本題だろう。 嘗て大聖女を出したアマリリス家はその後魔力量が減少し僅かばかりの回復魔法しか使えず、上級魔法を使える者は大聖女後1人もいなかった。 ギムレットは中級回復魔法迄しか使えず、イリスは中級回復魔法を使えない。 アマリリス家は回復魔法を使えるということで爵位された家だ。 その回復魔法が使えはするが爵位された頃と比べ劣って来ている。 アマリリス家を軽んじる者は増えていた。 「こちらにいるキリアが治療を行いました。ですがキリアは上級魔法を使ってはいません」ギムレットの言葉に周りがざわつく。 王様の側にいたランスが「その場に私もいた。ギムレット殿の言葉は真実で、補足するが初級回復魔法を使って治療した」 ざわつく声が大きくなる。 ー初級回復魔法で治せるのか? ー本当なら凄い事だぞ! ー大聖女の再来かもしれん 嘗て偉大だった大聖女の残した功績がまだ物語等で語られ魔力が段々と減少してきた国では上級ポーションやフルポーションなども作れ
last updateLast Updated : 2026-09-28
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話合い

前世の記憶を取り戻してから記憶はあるが動作は年齢に引っ張られていた。舌足らずな話し方、無邪気な動作意識しないと幼子の状態になり、何度も羞恥を味わってしまう。 別室で軽食と飲み物をだされソファーで休憩していると、ノックされ王様が現れた。 王様と宰相、ローブの者達と医者数名が入って来て、キリア達の前にきた。 前のソファーに王様が座る。 宰相が医者からの報告を始めた。 「騎士ダンロップの怪我は完治暫く養生すれば騎士に戻れると報告がありました」 宰相の声に白衣を着た医者達が頷く。 「さて、キリア嬢聖女に興味はあるか?」王様がキリアと目線を合わせた。 キリアは暫く考え首を振る。 「魔法は好きですが、聖女は嫌です」とはっきり拒絶した。 「それは何故だ?」 この国では聖女は15歳以上でしかなれない。が聖女見習いには何歳でもなれる。 目の前の少女は僅か5歳で現在アマリリス家時期当主の可能性がある。 聖女は教会の管轄になるが国の重要人になれる。 「聖女は無償で自分の好きにできません」とキリアは答えた。 「好きな事とは?」王様は怒ることもなくキリアと話しを続ける。 「魔法をいっぱい使いたいし、魔道具も作ってみたい。それにドラゴンに会いたい」とキラキラした瞳で身ぶりを加え話す姿は可愛らしく笑いを誘った。 「キリア嬢では聖女じゃなく、魔術師の塔に入らないか?」 「マジュチュシ?」 舌足らずのキリアには発音できず、王様の手前大人達は笑いを堪えていた。 「魔道具を作るも良し魔法の勉強をするも良し。まぁもう少し大きくなったらだが、彼らが魔法を教える」 とローブのもの達がローブのフードを脱ぎ顔を出す。 「魔術師の塔主カーキン・モクセイじゃ」ギムレットよりも年上で白髪の長髪で仙人のような髭の好好爺が挨拶する。 「バーレ・オニオンだ。俺が主に魔法を教える隣はジーク魔道具作りを教える」 「魔法を教えて貰ったらマジュチュシの塔に行かないとダメですか?」 キリアが頭を傾げた。 「陛下。この子はまだ幼くものを知りません。もう少し大きくなってからではいけませんか?」ギムレットが王様に願い出る。 王様と宰相とカーキンがヒソヒソと話しをしてキリアに向き直ると「魔法や魔道具作りは教えて貰え。キリア嬢がなりたいものにな
last updateLast Updated : 2026-09-28
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魔術師の塔

キリアはバーレの隣の部屋に連れてかれ1人使用人をつけられた。 王宮の侍女でキリアを丁寧に扱った。 ミシェル・セサミ、 歳は30歳第1王子の乳母だったらしい。 夜は別の侍女が交代でつくそうだ。 動きやすい服と魔術師の塔の専用ローブを纏いバーレの元に連れて行かれた。 バーレから魔力コントロールの練習でポーション作りを教わった。 ポーションができ、魔力コントロールもつく一石二鳥の練習だと言われ一から教わる。 最初はバーレと共に作り、作り方を覚えると1人で最初からやらされた。 始めて作った割には失敗せず初級ポーションができた。 バーレからも合格を貰い、ポーションをまとめて作る方法も教わった。 そちらも合格を貰いバーレから驚かれる。 母親から魔力コントロールの為にハンカチを浮かせ維持する練習を教わり毎日行っていた事を伝えると、納得する様に頷かれた。 それからは一日20本のポーションを作るよう言われ、それが終わったら何故か勉強を教わった。暇な時に読むように魔法の本や魔道具作りの本を渡された。 半年がたち魔法に関しての知恵がつき始めた頃、キリアのチート能力が現れ始めた。 魔力コントロールの練習の為最初は散らかったものの片付けを魔力を使い片付けていた。 回数をこなすうちに秒で行えるようになった。 洗濯も洗濯機の要領で樽に水を入れ洗剤を入れ水を魔力で回し汚れをとる。 次に水を捨て水を入れながら水を魔力で回し洗剤をすすぐ。 水を捨て洗濯物を魔力で回し脱水して干す。 回数をこなすと水を魔法で生み出し空中で留め洗剤を入れ水を回し、新しく作り出した水に移し水を回しすすぐ。洗剤の入った水は蒸発させすすいだ水も蒸発させ洗濯物を一気に乾燥させた。 全て魔法で行い、最終的にそれらは一瞬で出来るようになる。掃除や洗濯、料理も魔法で出来るようになった。 魔法は想像力が必要だとバーレに教わり、前世の知識で異世界転生ものを読んだキリアはその物語で使われてた生活魔法をこの世界で作り上げてしまった。 時々治療を依頼されお金は全てアマリリス伯爵家に送られ、イリスが色々買ってキリアに届けにきた。 その頃には週一で面会を許され、ドレスや靴にリボンなど持ってきてキリアを抱きしめ離さなかった。 魔術師の塔に入って8ヶ月。 面会にイリスがやってきた。新
last updateLast Updated : 2026-10-02
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帰宅

魔術師の塔にきて1年。 ギムレットが契約を更新しなかったおかげでやっとお家に帰れる。 家には帰れるが、週3回魔術師の塔に通わなければならない。 家に帰る日、何故か宰相のロベルトが現れた。キリアを抱え王宮の宰相の執務室に運んだ。 執務室ではギムレットとイリスが既に座って待っていた。 面会にも良く来てくれたギムレットはキリアを見ると受けとり膝に乗せた。 ロベルトはにこやかに新しい契約書を渡してきた。 キリアの魔術師としての腕も上がり、新しく作った数々のポーション(キリアの名前で特許獲得済み)や従来のポーションの販売方法や、治療に関する事柄が書いてあった。 ポーションは毎月納めて欲しい個数が記され、別途の依頼分は5%増しで購入する。 貴族からの依頼は王家を通したものだけ受付けること。 貴族以外は好きにしてよい。 教会からの依頼や面会など王家に必ず知らせること。 等が書かれてあった。 「教会からキリア嬢を聖女見習いにと言われてまして」ロベルトが苦笑いを浮かべ説明を始めた。 貴族が聖女や聖女見習いになる場合、親権者や本人の希望がない場合強制できない。 キリアの名前は教会に知られて、回復魔法が得意なら聖女になるべきだと教会から王家に再三抗議が起きている。 何度も面会を希望され、少しでいいから会って欲しいとロベルトに言われた。 「契約なんですが、キリア嬢は既に一人前の魔導師で魔道具作りもプロ級であると塔主のお墨付きなのですが、なんせ若いしこれから先学園に入ったり忙しくなるでしょう。ですので、依頼という形で王家専属になって欲しいのです。そうすれば教会からの盾になれますし、王家はポーションの料金を節約でき、治療において教会の独壇場にならなくて済むんです」 色々問題があるのだろう。 イメージ的に教会は好きではなく、自分を守ろうとしてくれてる王家の方がいいなと本能的に思った。 「なにせキリア嬢は上級ポーションを作れる我が国唯一の魔導師で教会に入られると教会の力が増してしまい王家が軽んじられます」 「ポーションを王家に納めるのはいいとして、貴族の治療はポーションで対応できませんか?」病気も怪我も治すポーションがあれば殆どが治るはず。 キリアが治療すればポーションを減らさなくて済むが、キリアが拘束されて
last updateLast Updated : 2026-10-02
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お茶会

屋敷に戻ると使用人達が集まって「おかえりなさいお嬢様」と声を揃えて言ってくれた。 新しい父のキンブリーと義兄のギルバートも出迎えてくれた。 「ただいま」キリアは全員を見渡し元気良く手を振った。 新しい使用人が増えている。 1年前とは違い屋敷は綺麗で、壁には絵が飾られている。 「キリアのおかげで伯爵家として恥ずかしくない屋敷になった。専属の侍女もいるから」とギムレットがキリアの頭を撫でる。 ギムレットとイリス、キンブリーとギルバートとキリアで夕食を食べた。 久々の屋敷での食事で豪華な夕食だった。 ただ、食事は前世の方が遥かに美味しく、時々前世の食事が恋しくなる。 ギムレットが1週間後に辺境地に行くというのでスクロールを渡して着いたら開くように伝えた。 行ったことのない場所でもスクロールがあればテレポートでき、行ったことのある場所にはスクロールなしでも行ける。 馬車で移動しなくてもすむのだ。 ギムレットにその事を伝え忘れないように念押しした。 屋敷では魔術師の塔に行く以外でポーションを作ったりした。 イリスから刺繍を習い、ギルバートとお茶したり、王宮からきた騎士にギルバートと共に剣を習った。 ギルバートと共に初めて王宮の子供達のお茶会にも参加した。 キリアは特別魔術師として名前が知られていて、子供のお茶会だと保護者も参加する為治療したことのある者もいた。 保護者達から仲良くする様に言われてるのだろう。 キリアは参加した子供達に囲まれ質問攻めにあう。 自己紹介も無しに話しかけられ、腕やドレスを引っ張られ、揉みくちゃにされた。 ハミルトン公爵家の御子息が見兼ねて声をかけてくれた。 ギルバートとイリスは第2王子に呼ばれ離れていた為キリアが揉みくちゃにされているのに気づかなかった。 髪はボサボサになり、ドレスもよれてしまった。 ハミルトン家の御子息が苦笑いしながら「大丈夫かい?」と声をかけた。 公子がキリアの側にいる為他の子供達は近づけない。 所々から女子の公子の賛辞が聴こえる。 「あ〜大丈夫ですよ!」とポケットからキリアが作った魔道具を取り出す。 ボールペンの半分の長さで先にボタンがついたそれはクリーンシャワーと名付けた身だしなみ用の魔道具だ。 ボタンを押すと身体はシャワーを浴びて髪が乾いた状態になり、服は修復作用もあ
last updateLast Updated : 2026-10-06
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緊急事態

レイモンドとポーションの話しの途中でお茶会の会場に飛び込んできた騎士達。 「キリア・アマリリス嬢はいらしゃいますか?」と色んな場所で叫んでいる。 「キリア・アマリリスは私です」と椅子から立ち上がると直ぐ様「いたぞー!」と周りの騎士達に告げ、騎士の1人に抱えられた。 「・・・え?」 騎士はそのまま走り出し騎士の練習場に連れて行かれた。 大勢の騎士が血を流していて怪我してない騎士達が応急処置にあたっていた。 回復魔術師も数名いて倒れている騎士の治療にあたっていた。 「キリア・アマリリス嬢を連れて来たぞ!」キリアを抱えた騎士が叫ぶ。 「早くこっちへ」回復魔術師の1人が手を上げ叫ぶ。 「急げ間に合わない」近くの騎士も囃し立てる。 キリアを抱えたまま呼ばれた場所に走る。 「早く治療してくれ」額に汗をかき今まで命を繋いでいた回復魔術師が泣きそうになりながら頼み込む。 キリアは急いでその騎士に癒しの魔力を注ぎ込み全ての傷を魔力で包むと「ヒール」と初級回復魔法を唱えた。 騎士の傷は全て治った「次!」キリアが声を出すと「こっちだ」と声がかかる。 声の順に治療していき、重傷者がいなくなると軽傷者を治療していく。 ドレスは血や土で汚れ魔法でセットした髪も乱れていった。 全員の治療が終わると騎士や回復魔術師達から礼を言われた。 「回復魔術師の皆さんが命を繋いで、騎士の皆さんが重傷者を見極めてくれたおかげです。それがなければ助けられない人もいた筈です。皆さんで乗り切ったんですよ」とキリアが皆に声をかけた。 「すいません。せっかくのお茶会だったのに」キリアを抱え走った騎士が頭を下げる。それに続いて皆が頭を下げた。 「やめてください!頭をあげて」キリアが慌てて声をかける。 「お茶会なら何度もありますから。気にしてません」と続けた。 治療してる間にお茶会は終わり、練習場にはお茶会に参加していた数十名が見学に来ていた。 イリスやギルバートはキリアを待っていて、ギルバートの隣にはレイモンドがいた。 騎士団長と副団長が王宮から走って来てキリアの頭を撫で回す。 「キリアすまん。騎士見習い達を助けてくれてありがとう」 団長からはグリグリと撫で回され副団長からはバシバシと背中を叩かれる。 騎士団の力は強く毎度の事だが激しい激励を受けた。 「キリア嬢は女の
last updateLast Updated : 2026-10-06
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レイモンド

ハミルトン公爵家に産まれ勉強や剣、それに魔法、僕は難無くこなしてきた。 家庭教師達は天才だと褒め称え、剣の才能があるといい。魔力量も多く初級魔法を全てマスターした。 王宮のお茶会に参加すれば年上の者でも幼く感じてしまう。 第1王子には会った事はないが第2王子には何度かお会いした。 第2王子とは同じ年で話しをしてみたが、話が通じず驚いた。 公爵家嫡男として王宮で開かれるお茶会には参加せねばならず、ただ退屈な時間を過ごした。 ところが先日のお茶会で去年から度々名前を聞いていたキリア・アマリリス嬢と出会った。 初めて目にした彼女は、令嬢や子息に取り囲まれドレスや腕を引かれていた。 髪はボサボサになり、ドレスもよれて悲惨な格好だった。 何とか助け出し、使用人に身なりを整えさせようと思ったが、彼女は自分で作った魔道具クリーンシャワーと名付けたそれで身なりを整え、髪を魔法でセットしてみせた。 自分より2歳も年下のはずの彼女は既に魔道具を作れる。 魔法で髪をセットした時はもっと驚いた。 魔道具は大人に手伝って貰ったかも知れないが、魔法で髪をセットするなんて、僕でも出来ないし、出来る気もしない。 ・・・もしかして魔道具も本当に作ったのか? スズランの香りを微かに感じる。 彼女と話しをしたくて姉以外の女性を初めてエスコートした。 使用人は僕の考えを読んでくれ、お茶会で準備した最高級の茶葉と、姉が勧めていた飲み方で紅茶を用意してくれた。 お菓子もそれに合うものを用意してくれた。 彼女は「美味しい」と笑ってくれた。 その笑顔が可愛くて、眩しかった。 彼女は僕の話しを理解してくれた。 話しが弾んだことなんて初めてで、表情が崩れた事も夢中でおしゃべりした事も初めての経験だった。 だがその楽しい時間も飛び込んできた騎士達に壊された。 キリア・アマリリス嬢は回復魔法が得意で特別魔術師に選任された。 「キリア・アマリリス様はいらしゃいますか?」騎士の声を聞き心臓が跳ねた。 彼女は手を上げすぐに返事をした。 近くにいた騎士が彼女をヒョイっと抱え僕の前から走り去っていった。 (嫌だ!連れてかないで) 心のままに騎士を追いかけた。 使用人達から僕を呼ぶ声が聴こえるが僕の足は止まらなかった。
last updateLast Updated : 2026-10-06
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