ー痛い。転んだのなんていつぶりだろう? 木の板の床に上体を起こしぶつけた膝を見る。 そこで違和感を覚える。 見える膝は赤く擦りむいている。違和感はそこでなく視界の足はガリガリで棒のようで小さい子供のようだった。 手を見ても同じくガリガリの小さな手で、薄汚れていた。 着ている服は裾の短いボロボロのワンピースで、見渡した部屋は狭く6畳程度の広さだった。 見るからに硬そうなベッドに人が横たわっていた。 小さな棚にタンスが置いてあり、これもまたボロボロだった。 ベッドではガリガリの女性が横たわり、眠っているようだ。 長い髪は艶もなくパサパサして肌もくすんでいるが、美しい女性のようだ。 ひび割れた窓に映るのは、ベッドの女性に似た5歳程度の少女だった。その姿を見た瞬間見慣れた自分の記憶が次から次に流れ込み痛み出した頭を手で抑え目を閉じた。 痛みはどんどん増し意識を手放した。 目を覚ますとベッドにいて隣には眠っていた女性がいた。 女性の横は心地よく癒されるような感覚を覚えた。 意識がない間に脳が整理され今の状況を理解した。 隣の女性は私の現世での母親イリス・アマリリス。 癒しの魔法を使うアマリリス伯爵家当主。なのだが、イリスの夫が半年前に愛人と愛人との間に産まれた子供を連れてきてイリスと私ことキリア・アマリリスを離れに閉じ込めた。 前世の記憶が戻った今は何が起こってるかわかるが、戻る前はわからなかっただろう。 1年前イリスの前夫はモンスターの討伐に参加し帰らぬ人になった。イリスとキリアの事を心配した前伯爵(キリアの祖父)が、新しく結んだ結婚で前伯爵が領地で過ごすためここを出たのが半年前。 新しい夫は直ぐ様愛人と愛人との間に産まれた娘と柄の悪い男達を連れ、屋敷を占拠した。 イリスとキリアは離れに監禁され半年が経って、まともな食事もなくイリスは身体を壊した。 まだお迎えが来ないのは、イリスの魔力が癒しの魔力だからだ。 キリアの怪我も綺麗に治っているのもイリスの魔力のおかげなのか、自身の魔力かはわからないが2人に傷がないのは癒しの魔力のおかげだろう。 ただ魔力じゃお腹は満たされない。 執事や乳母がゴロツキ達の目を盗んで僅かな食事を時々届けてくれる。 ここに来る使用人の怪我が増えて行く。 「もうすぐ前伯爵がきてくれます。それまで頑張っ
Last Updated : 2026-09-28 Read more