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レイモンド

Author: チビ
last update publish date: 2026-10-06 23:50:41

ハミルトン公爵家に産まれ勉強や剣、それに魔法、僕は難無くこなしてきた。

家庭教師達は天才だと褒め称え、剣の才能があるといい。魔力量も多く初級魔法を全てマスターした。

王宮のお茶会に参加すれば年上の者でも幼く感じてしまう。

第1王子には会った事はないが第2王子には何度かお会いした。

第2王子とは同じ年で話しをしてみたが、話が通じず驚いた。

公爵家嫡男として王宮で開かれるお茶会には参加せねばならず、ただ退屈な時間を過ごした。

ところが先日のお茶会で去年から度々名前を聞いていたキリア・アマリリス嬢と出会った。

初めて目にした彼女は、令嬢や子息に取り囲まれドレスや腕を引かれていた。

髪はボサボサになり、ドレスもよれて悲惨な格好だった。

何とか助け出し、使用人に身なりを整えさせようと思ったが、彼女は自分で作った魔道具クリーンシャワーと名付けたそれで身なりを整え、髪を魔法でセットしてみせた。

自分より2歳も年下のはずの彼女は既に魔道具を作れる。

魔法で髪をセットした時はもっと驚いた。

魔道具は大人に手伝って貰ったかも知れないが、魔法で髪をセットするなんて、僕でも出来ないし、出来る気もしない。

・・・もしかして魔道具も本当に作ったのか?

スズランの香りを微かに感じる。

彼女と話しをしたくて姉以外の女性を初めてエスコートした。

使用人は僕の考えを読んでくれ、お茶会で準備した最高級の茶葉と、姉が勧めていた飲み方で紅茶を用意してくれた。

お菓子もそれに合うものを用意してくれた。

彼女は「美味しい」と笑ってくれた。

その笑顔が可愛くて、眩しかった。

彼女は僕の話しを理解してくれた。

話しが弾んだことなんて初めてで、表情が崩れた事も夢中でおしゃべりした事も初めての経験だった。

だがその楽しい時間も飛び込んできた騎士達に壊された。

キリア・アマリリス嬢は回復魔法が得意で特別魔術師に選任された。

「キリア・アマリリス様はいらしゃいますか?」騎士の声を聞き心臓が跳ねた。

彼女は手を上げすぐに返事をした。

近くにいた騎士が彼女をヒョイっと抱え僕の前から走り去っていった。

(嫌だ!連れてかないで)

心のままに騎士を追いかけた。

使用人達から僕を呼ぶ声が聴こえるが僕の足は止まらなかった。

騎士の練習場で僕が見た光景は恐らく一生忘れないだろう。

大勢の怪我人に、大量の流血。

男の僕でさえ踏み込むのを躊躇するのに、彼女は休みもせずに次々と怪我人を治療していった。

クリーンシャワーで綺麗になったドレスは土と騎士の血で汚れてしまっていた。

額に滲む汗もボロボロになってゆく姿も誇り高く美しいと思った。

どれだけの時間がたったのだろう。

治療を終えた彼女に声をかけようと近づく。

その時王宮から騎士団団長と副団長が走って僕の横を通り過ぎた。

団長はアマリリス嬢をグリグリと頭を撫で回した。

副団長はバシバシと背中を叩いた。

僕はいてもたってもおられず、2人に辞めるように言った。

2人はやめてくれたが今度は彼女を息子の嫁にと言い合いをはじめた。

2人に勝手な事を・・・。と心で毒づく。

アマリリス嬢から汚れるからと言われ離してと言われたが離したくなかった。

すぐアマリリス嬢の兄が来ると、離れろと言葉や態度で示された。

ギルバート・アマリリス。アマリリス嬢の母の再婚相手の連れ子で義理の兄。年は僕と同じで8歳。

血の繋がりのない兄妹。

そのことがとても不愉快で、羨ましい気持ちと同じ屋敷で過ごせることへの激しい妬みの感情が湧き上がった。

それを顔に出さないよう必死で抑えつけた。

ギルバートが僕に近づかないようにとアマリリス嬢を説得してるのが聴こえた。

確かにアマリリス嬢を抱きしめたのは失態だった。

でも腹が立つ。ムカつくと心で思う。

僕は自分の中にこんなに激しい感情がある事を初めて知った。

彼女がギルバートの忠告に頷いた時は、足が震え血の気がひいた。

悔しいが、姉が同じことをされたら僕もギルバートと同じ事を忠告する。

わかってる!ギルバートの忠告は正しいと!でも邪魔だと思ってしまう。

僕とアマリリス嬢の仲を引き裂く悪魔に見えた。

僕はどうかしたのだろうか?

自分の感情がコロコロ変わり、頭が追いつかない。

2話しが出来ないままアマリリス嬢はギルバートとアマリリス女伯爵と共に去っていった。

1度も後ろを振り向くことなく。

僕は姿が見えなくなるまでその後姿を見つめていた。

使用人や護衛に声をかけられてもその後姿を視線で追いかけた。

使用人達に連れられて屋敷に戻るとアマリリス嬢が美味しいと言った茶葉と手紙をアマリリス嬢に贈るように使用人に手配した。

後日お礼の手紙とアマリリス嬢が言っていたポーションを贈ってくれた。

剣の練習のときポーションを飲んでみたくて態と怪我した。

アマリリス嬢のポーションを練習場に持っていって大袈裟に嫌がりポーションを持ってこさせる。

使用人達は僕がアマリリス嬢にポーションを貰っている事を知ってるから生暖かい目を向けられた。

(カッコ悪い)と思いつつも

早くと心が急かす。

飲んだポーションはリンゴ味で甘く少し酸味があって切ない味がした。

アマリリス嬢に逢いたくなった・・・・。

僕はどうしたのだろう?アマリリス嬢のことがあのお茶会の時から離れない。

僕はどうすればいいのだろう?

お姉様に相談してみよう。

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