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第21話 妻が決める再会

アデルが選んだ馬車は、王城から用意したものではなかった。御者を知っている近所の女に頼み、護衛の兵には川沿いの分かれ道で合流してもらう。人数は二人、制服ではなく旅装で、家の前には来ない。それが彼女から届いた返事だった。 ダリオは手紙を読み終えると、「こちらが考えていたより、よほど行き届いている」と言った。私は同感だったが、少しだけ胸が痛んだ。夫が帰らないあいだ、アデルは娘を連れてどこへ行くにも、誰が見ているかを確かめていたのだろう。 診療所の医師からは、娘を会わせることに支障はないが、オーウェンの脚は長く立っていられないので、最初は座って話してほしいと返事が来た。私はそれをアデルに伝え、同席を望むなら部屋に残るし、家族だけで話したければ外へ出ると書いた。彼女の返事は短かった。『最初だけ、いてください。顔を見た途端、私が何を言うかわからないので』 国境の診療所に着くと、アデルは先に来ていた。娘は彼女の外套の裾をつかみ、廊下の窓に並ぶ薬草の鉢を眺めている。アデルは私に気づくと、挨拶より先に夫の様子を尋ねた。「脚は、家まで歩けるくらいには治っているんですか」「短い距離なら歩けます。でも、医師は無理をさせないでほしいと言っていました」「帰ってこいと言うつもりで来たわけじゃありません」 少しきつい声になったのを気にしたのか、アデルは娘の髪を撫でた。私は言葉を急がず、診療所の中庭を使って娘が先に休めること、会いたくなくなったら途中で部屋を出られることだけ伝えた。「この子には、父親が生きていたと話しました。会いたいかとも聞きました。最初は黙っていたけれど、昨日、自分で行くと言ったんです」 娘は窓からこちらへ顔を向け、母親の外套を離した。「お父さん、私のこと覚えてる?」 答えを知っているふりはできなかった。「あなたのことを、最初に尋ねていました。会ったときの顔は、私よりお父さんに聞いてみて」 娘は小さくうなずいた。アデルは私に礼を言わず、かといって怒りもしなかった。ただ娘の手を取り、奥の扉へ向かった。 オーウェンは椅子に座って待っていた。膝には、青い紐のついた革の小銭入れが置かれている。戸が開くと立と
last updateآخر تحديث : 2026-10-20
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第22話 返ってきた書状

診療所から戻って二日後、長老会の返書が届いた。封を切る前から、差出人の名が四つ並んでいるのを見て、話が簡単には進まないとわかった。私が群れを出た日、同じ四人が私の申し開きを聞いた。聞いたうえで、原本を見せずに私を追い出した人たちだった。 執務室にはヴィンとエイドリアンがいた。私は一人で読みたいと言いかけたが、今は仕事として扱っている書状だと思い直し、机の上で広げた。 長老会は、搬出命令書と損失の書類が手元にあることを認めていた。ただし、盗難を調べている最中の原本を王城へ送ることはできないという。代わりに、長老たちの立ち会いのもとで閲覧を認める、とある。最後には、原本の保管責任について私にも理解を求める一文が添えられていた。「保管するのは当然です。でも、あのとき私には見せてくれなかった」 思わず口にすると、ヴィンが書状の最後を指した。もう一枚、別の紙が挟まっている。ガレス自身の返答だった。『リヴィア・フェンは、自ら文書を確認して署名した。内容を見せなかったとの主張は事実と異なる。彼女が王城に滞在している間に以前の発言を変えた理由についても、確認が必要である』 文章は整っていた。私が確かに署名したことと、そこに書かれた命令を承認したことを、一つの話として読ませる書き方だった。「以前の発言って、何を指しているんでしょう」とヴィンが尋ねた。「群れの広間で、私が『自分の署名です』と言ったことだと思います。署名を偽物だとは言っていません。その後、書類を開いて初めて搬出命令の文面を見たんです」「そこを書けばいい。いつ何を認めたのか、分けて返そう」とエイドリアンが言った。 私がうなずくと、彼は返書を取り上げず、私が写しを作るのを待った。ガレスの文面には腹が立つ。それ以上に、彼ならこういう書き方をする、とわかってしまうのが嫌だった。曖昧なところを残し、相手が抗議すれば細かな言葉の違いに見せる。商人との交渉で、私は何度もその手際に助けられたことがある。 午後、別の便がイーダの手紙を運んできた。封筒には、私が昔、帳簿の仕分けに使っていた小さな印が押してある。手紙の冒頭でイーダは、私が群れを出る日に預けた古い帳簿を無事に運べてよかった、と今さら書いていた
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