寂しい時や人肌が恋しい時にどちらからともなく私たちはお互いを求め合う。都合がよくただ快楽を求めるだけのその行為に私たちはただ溺れていた。部屋の中に卑猥に響く2人の吐息がやけに生々しく、その音がさらに興奮を誘う。ただ無我夢中でお互いを求める行為は気持ちよく、何も考えられないほど溶かされる夜はあまりにも甘い。「乙葉⋯⋯」「んっ⋯⋯」「なぁ乙葉。俺の名前、呼んでよ」素肌が重なり合いお互いの体温が蕩け合うのはすごく心地がいい。私たちの相性はおそらくいいのだろう。身体を重ね合う度に思い知らされるのはどうしようもないほど彼を求めてしまうこと。あまりの快楽に自分を忘れ淫らに欲しがってしまうのだ。耳元に唇を寄せ少し掠れた甘ったるい声で囁くこの男はただのセフレで、それ以上でも以下でもない。なのにそんな切なさそうに私の名前を呼ばないで。「や、だ⋯っ」「なぁ乙葉」「藍村は⋯藍村、だから⋯っ」身体を重ねる時に名前を呼ばないのは私なりの一線の引き方だ。これ以上彼の甘さに溺れないように。そう思うほど彼の優しさや甘さにハマっていく。少しずつ気づかないうちに私は彼のどろどろと蕩ける溺愛に溺れ始めていくのだった───。
最終更新日 : 2026-10-05 続きを読む