『ねぇ、約束をしよう』『何を?』『僕たちの永遠を、約束しよう』『永遠…』『そう、永遠…永遠に一緒にいれるように』『…うん』 頷いた視線の先に見える掌に自分の掌を重ねて、私たちは約束した。 永遠を、約束した。 ******** 小鳥達が囀る朝、自分の耳にはコツコツと簡素な靴の音が響く。 黒髪のポニーテールが小さく揺れる中、小さな鞄を携えて私はあるお屋敷に向かっている。 屋敷の主人はハボック・スペンサー公爵。レンネット王国の剣術指南役として従事する由緒正しい貴族であり、国の中では二番目に広い中規模領地であるホエー領を同時に治めている。家族は妻と息子。 私はそのスペンサー家が運営する孤児院出身で、今日からスペンサー家のメイド見習いになる小娘だ。 スペンサー家は、使用人を自らが運営する孤児院の子供から取る、という風変わりな家で知られている。 子供達は、一度孤児院に入れたとしても成人する十八歳になればそこを出なければならない。そこでスペンサー家は、孤児院を出る者達を集めて使用人として一定期間使うことで、人件費を浮かせつつ子供達が社会に出る手助けをしているのだ。 もちろん孤児院も屋敷もホエー領の中にあるけど、比較的街中にある屋敷から孤児院は離れたところにある。当然そこまでの馬車を雇うお金もないので、私はせっせこと歩いていかなくてはならない。 のどかで牧歌的な景色を超えて街の目印である大きな門をくぐると、石畳に整地された中心地に足を踏み入れていく。 渡された地図を頼りに馬車や馬に轢かれないよう気をつけながら通りを抜けると、やがて見えてくる背の丈を越える大きな門が視界を埋める。 半分ほど開けられた門の向こうには、綺麗に整えられた庭で花々が生き生きと咲いているのが見えた。「…」 やっぱり少しだけど、中に入るのに物怖じする。 お屋敷が私には大きすぎるっていうのもあるけど、綺麗に整えられた庭は苦手だ。 しかし怖がっていても始まらない…一度深く息を吸って、吐く、それから意を決して門の中へ足を踏み入れた。 整えられた生垣、水の絶えない噴水、緑の鮮やかな木々達、色とりどりに春を告げる花々。ここの庭師はとても腕が良いんだろうな…と、ぼうっと歩きながら見渡す視界で考える。 広すぎる庭を抜けると、とうとう赤いレンガで作られ
Última atualização : 2026-10-05 Ler mais