勲はバーのボックス席に座り、手の中のダイヤの指輪を弄んでいた。薄暗い照明の下で、ダイヤは細かな光を反射し、その輝きが彼の指の間にこぼれ落ちている。隣に座る幼なじみの中島与志(なかじま よし)が、彼の手元をちらりと見て、笑いながらからかった。「なんだ?お前の後輩ちゃんにでもプロポーズするつもりか?」勲は何も答えず、指輪をそっと手のひらに握り込んだ。与志は容赦なく鼻で笑う。「聞いたぞ。お前、ディレクターのポストもプロジェクトもあの鈴木に譲ったんだってな。それで、後輩ちゃんは退職すると大騒ぎして、逃げる準備をしてるって?」勲は眉間にわずかに皺を寄せ、グラスを手に取って一口飲んだ。「あ
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