『きんいろモザイク』の原作とアニメを比べると、まずキャラクターの動きや表情の豊かさが際立ちます。漫画では静止画ゆえにニュアンスを読み取る必要がありますが、アニメでは声優の演技や細かな仕草でキャラクターの魅力が倍増しています。例えばアリスが日本語を間違えるシーンは、漫画だとセリフだけで笑いを誘いますが、アニメでは発音の微妙なズレや顔の赤らめ方まで再現され、よりコミカルに感じられます。
ストーリーの順番にも違いがあり、アニメではエピソードの並び替えが行われています。これはテレビシリーズとしてのリズムを考慮したもので、特に第1期では原作の初期エピソードと後半のエピソードを織り交ぜながら、アリスと忍の出会いを軸にした構成になっています。またアニメオリジナルのカットインや背景美術も特徴的で、イギリスの街並みや学園の教室など、色彩設計が漫画の素朴なタッチとは異なる洗練された雰囲気を醸し出しています。
音楽の存在も大きいですね。『きんいろモザイク』のアニメはOPテーマの明るさやEDのほのぼのとした感じが、作品の空気をさらに引き立てています。特にアリスがイギリスに帰国するエピソードでは、原作以上に情感が強調され、BGMの効果が絶妙でした。こうしたマルチメディアならではの表現の厚みが、アニメ版の特別な魅力になっていると思います。