読書歴20年でこれほど未来を鮮やかに描いた作品は珍しい。
『The Ministry for the Future』は気候変動後の世界をリアルに想像させてくれる。各国政府が協力する姿や、市民の抵抗運動が交錯する様子から、私たちの現在地が見えてくる。特に氷河融解のシーンは、データと物語が融合した圧倒的な描写力だ。
キム・スタンリー・ロビンションの筆致は、未来の可能性を憂いながらも希望を捨てていない。技術革新よりも人間の選択に焦点を当てたところが秀逸。
SFの世界線変遷ものって、読むたびに頭がぐるぐる回るような感覚がたまらないよね。特に『シュタインズ・ゲート』のゲーム原作や小説版は、時間跳躍の理屈が妙にリアルで、キャラクターたちの選択が世界線収束率にどう影響するかが細かく描写されてる。
あと、筒井康隆の『時をかける少女』の原案小説も、軽やかなタッチながら平行世界の分岐を扱っていて、映画やアニメとは違う味わいがある。量子力学の観測問題を下敷きにした『All You Need Is Kill』(『エッジ・オブ・トゥモロー』の原作)も、ループものと世界線変更が融合した異色作だ。
最近だと『Re:ゼロから始める異世界生活』の小説で、主人公が死亡時に別世界線に移行する設定が、ゲーム的なセーブ&ロード感覚と重なって新鮮。どれも『もしあの時違う選択をしていたら』という人間の根源的な問いに答えてくれるのが魅力だね。