西尾維新の作品世界を追いかけていると、『しのぶ物語』と過去作との間にいくつかの共通するテーマが浮かび上がってきます。特に『
化物語』シリーズとの繋がりは深く、キャラクターの造形方法や会話のリズムに同じDNAを感じます。
例えば、登場人物たちの長めの対話シーンや、日常の中に潜む非日常を描く手法は『傷物語』とも通じるものがあります。ただ『しのぶ物語』ではより心理描写が繊細になり、時間の流れに対する感覚が過去作よりも柔らかくなっている印象を受けました。
忍野忍というキャラクターの成長過程を見ると、西尾作品に繰り返し登場する「怪物と人間の境界」というテーマがさらに深化しているのがわかります。