不妊の後、夫は他人に子を産ませた玖島文人(くしま ふみと)と結婚して数年になるが、私たちには子供ができなかった。
医師から「もうあなたの体では産めない」と告げられ、私は泣きながら文人に離婚を切り出した。
「私と別れて、別の人を探して。そうすれば、あなたも子供を持てるから」
けれど文人は私を抱きしめ、言ってくれた。
「葉月、君が産めようと産めまいと、俺が一番愛してるのは君だ」
その言葉があったからこそ、私は彼に一生ついていこうと心に誓ったのだ。
しかし数ヶ月後、私は彼のスマホの中に一通のメッセージを見つけてしまった。
【文人、今日あの子の誕生日なの。こっちに来られる?】
雷に打たれたかのような衝撃だ。
――あの子?文人に子供なんているはずがない。
まさか、彼が私に言った言葉は、すべて嘘だったのだろうか。