蒼き山に縛られし骨と沈む月三年前――
紗夜の家族三人は、燃え盛る炎の中に閉じ込められた。
目の前で、両親が炎に呑まれていく。
その絶望の中、助けに飛び込んできたのは晴人だった。
それから、紗夜はどうしようもなく晴人に惹かれ、三年間、彼が織り上げた優しさに溺れていた。
でも――
あの日の火事、実は晴人自身が起こしたものだったと知る。
彼が近づいたのも、付き合い始めたのも、すべては彼の思い人のための復讐だった。
愛も、幸せも、全部最初から嘘だった。
「だったら、私も晴人の復讐ごっこに最後まで付き合ってあげる」
そう決めた紗夜は、自分が死んだように見せかけて姿を消す。
けれど、晴人が焼け焦げた紗夜の遺体を目の当たりにした瞬間、完全に正気を失った。