過去とはここで決別する私、神崎菜月(かんざき なつき)は、堀井辰悟(ほりい しんご)の初恋の相手なのに、彼は私の身代わりを愛してしまった。
結婚式の前夜、彼のスマホにびっしりと並ぶ、あの子の写真を見つけた。
その子は私に結構似ており、純情そうで明るい。
私は迷わず、スマホを彼の前に差し出した。
「結婚、まだするの?」
辰悟は長い間黙り込み、やがて私の目の前でその子の写真と連絡先を削除した。
「菜月、確かに彼女に心が揺れたことはある。でも、それは君に似ているからだ」
彼のために、私は家族と三年も対立してきた。
今さら彼を諦めるなんて、できない。
やがて式は予定通り行われ、彼は父親の手から私の手を引き取ったとき、涙まで流した。
けれど指輪を交換するその瞬間、彼のもとに一通の結婚式の招待状が届いた。
【ご結婚おめでとう。あなたにも、そして私にも祝福を】
辰悟は顔色を変え、私の手を振りほどいて駆け出そうとした。
私は彼の背に向かい、静かに言った。「辰悟、行くなら、私たちは終わりよ」
彼は一瞬ためらったが、それでも皆の前で私を置き去りにした。