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月落ち星沈み、人は去りぬ

月落ち星沈み、人は去りぬ

By:  飛魚(とびうお)Completed
Language: Japanese
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素直な佐藤結衣(さとうゆい)は、加藤翔太(かとうしょうた)の甘い言葉に誘われ、人目のない雑木林で関係を持ってしまった。 その後、二人は欲望に堕ち、頻繁に肉体関係を持つようになる。 ある日、翔太はますます常軌を逸し、結衣を彼女の父親のオフィスに連れ込み、そこで関係を持った。 その瞬間、結衣は彼の優しそうな瞳の奥には、実は陰の企みが隠されていたことに気づいた。 「誇りにしている娘が俺の恋人になったと知ったら、佐藤涼介(さとうりょうすけ)はどんな顔するんだろうな?彼が高橋美咲(たかはしみさき)をうつ病寸前まで追い込んだ報いとして、今度は自分の娘が売女呼ばわりされる気分を味わわせてやる!」 結衣の、一目惚れだと思っていたものは、翔太が初恋の恨みを晴らすために、わざと仕掛けた罠でしかなかったことを理解した。 この時、結衣はすっかり心を痛め、父に申し出て、ドイツへの留学を願い出た。

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Chapter 1

第1話

夜も更け、二人は佐藤涼介(さとうりょうすけ)のオフィスにいた。

「翔太、別の場所にしない?」

周囲を見渡すと、見慣れた調度品があり、佐藤結衣(さとうゆい)はすぐに、ここが父のオフィスだと気づいた。

付き合って二年、二人は様々な場所で関係を持ってきた。

しかし、父のオフィスでこんなことをするのは、結衣には少し気が引けた。

「どうした?恥ずかしいの?」

加藤翔太(かとうしょうた)は結衣を抱き寄せながら、低い声で言った。

「慣れれば大丈夫だよ。もういろんな場所でやってきただろ?

それに卒業したら結婚するって、約束したじゃないか。その前に、もっとスリルのある場所で楽しもうよ」

大学四年間、結衣はいつも恥ずかしがり屋で内気だった。

一方翔太は違う。彼はイケメンで、女の子の扱いも上手かった。

結衣が自己嫌悪に陥るたび、翔太はいつも優しく慰めてくれた。

「好みは人それぞれだよ。俺は結衣が可愛いと思う」

結衣は勉強はできたが、それ以外は何もわからなかった。

だが、翔太は結衣をこっそりバーやカラオケに連れて行き、きらびやかな照明の下で、みんなの前で結衣のことが好きだと叫んでいた。

わずか半年で、結衣は情熱的な翔太にすっかり心を奪われていた。

「俺の家に代々伝わる勾玉までお前に渡したんだ。もう何も心配いらないだろ?」

結衣の手のひらに、玉の冷たい感触が伝わった。

結衣は小さく頷いて、翔太の提案に同意した。

ふわりと浮かび上がるような感覚とともに、翔太は結衣を抱き上げ、机の上に押し倒した。結衣は思わず体の力を抜き、そのまま身を委ねた。

しばらくして、オフィスは静けさを取り戻した。

結衣は肌にまだ愛撫の痕が残る体で、散らかった書類を整え始めた。

父は机の上が乱れるのが一番嫌いだったから、物も少なかった。片付けるのにそれほどの時間は掛からなかった。

結衣はそう思いながら、ほっと息をついた。

机を整理し終わったところで、結衣は翔太に後ろから抱きしめられた。

翔太の熱い唇が結衣の首元に落ち、またしても彼女の口から甘い吐息が漏れた。

「結衣、来週、お父さんの還暦祝いのパーティーだろ?

彼は俺の担任教師でもあったんだ。その席で、俺たちの恋愛関係をみんなに知らせたい。その時のために、仲間と一緒に素敵なプレゼントを用意したいんだ」

結衣は胸が熱くなるのを感じ、名残惜しそうに翔太と別れのキスを交わした。

今は夜の十時半だった。彼女は父が規則に厳しいことを知っていた。だから十一時までには帰らなければならなかった。

そのため、結衣は大通りを避け、近道の庭園の築山を通って帰ることにした。

そして、そこで見覚えのある人影を目にした。

「翔太、すげーな!結衣と付き合うだけじゃなく、結衣の親父のオフィスでヤっちまうなんて!」

数人が下品に笑っていた。結衣は唇を強く噛み、顔が真っ青になった。

「結衣のあの清純な顔に騙されるなよ。彼女とはオフィスだけじゃなく、屋上や林でもヤッたんだぜ。

実際、彼女は案外ドスケベなんだからな」

翔太は煙を吐きながら、メモリーカードを指で弄んでいた。

「あの礼儀正しさを重んじる佐藤教授が、誕生日パーティーで娘の淫らな姿を見たら、どんな顔すんだろうなぁ?」

一人は相槌を打った。

「あの老いぼれ、きっと怒り狂うだろうな!」

「あなたと美咲が雑木林でキスしただけで、あいつは学校中の生徒の前で美咲を『恥知らず』って罵って、そのせいで美咲は自殺しかけるほど追い詰められ、結局二人の仲を引き裂いたんだよな」

「今回は翔太が体を張って結衣を誘惑したんだ。あの誕生日パーティーで、美咲の恨みを晴らさなければならない!」

彼らの会話は、結衣に大きな衝撃を与えた。

結衣はようやく理解した。彼女が本当の愛だと思っていたものは、別の女性の恨みを晴らすために、綿密に計画した罠に過ぎなかった。

結衣は泣くのを我慢しながら、その場から慌てふためいて逃げ出した。

結衣が帰宅したのは、ちょうど夜の十一時だった。

涼介は娘の腫れた目を見て、叱りつけようとした言葉を喉に詰まらせた。

「父さん、私はドイツに留学したいです」

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