オーロラと星辰ビジネス界において、高嶺凛(たかみね りん)が神崎奏多(かんざき かなた)の懐刀であることは周知の事実だ。
凛さえいれば、神崎グループに落とせない商談はない。
そして奏多は、凛を骨の髄まで愛している。彼女が望めば、その命さえ差し出すと言われるほどに。
かつては、凛自身もそれを信じていた。
彼女は神崎グループのため、南方の無法地帯で躊躇なく自らの頭に銃口を当て、引き金を引いたことがある。
西の大陸では、原料サプライヤーとの接待で吐血するまで酒をあおり続けた。
どんな修羅場でも、振り返れば必ず奏多が支えてくれていると信じていたのだ。
奏多が、あの小柄なボディーガードに向ける視線に深い感情が含まれることに気づくまでは。
彼はそれを「同情」だと言い張るが、二人が交わす視線の端々には、隠しきれない情欲が滲み出ていた。