流れ星よ、この願いを君に届けて卒業旅行の夜、クラス委員長の高橋健(たかはし たけし)がくじ引きで部屋割りを決めようと提案した。
「誰と相部屋になるかは運命次第だぞ!男女関係なく、同じ番号を引いたやつ同士でペアな。ドキドキして最高じゃん!」
大学の四年間、そのうちの三年を私は瀬崎涼真(せざき りょうま)と付き合ってきた。そのことを、周りの誰も知らない。
私は段ボール箱に手を突っ込み、ボールをひとつ掴み取ってペアの発表を待った。
涼真の番が来て、彼が引いたのは「7番」だった。
健が、ひときわ大きな声を上げた。
「7号室のもうひとりは――白石莉桜(しらいしりお)!」
涼真がかつて猛アタックしていた女の子が、みるみるうちに頬を赤く染めた。
その場が一斉に沸き立った。運命の赤い糸だと、みんなが口々にはやし立てる。
声を上げなかったのは、私だけだった。
ゲームが始まる前、健が涼真にこっそり耳打ちしていたのを聞いていたのも、私だけだ。
「目印のついてるボールを探せ。お前と莉桜用に、わざと仕込んでおいたからな」
涼真は柔らかく笑い、莉桜のそばへ歩み寄って彼女のスーツケースを持ち上げた。
それを見て、私もふっと笑った。
三年付き合ってきても、彼の口から「俺たち付き合ってる」というひと言すら出てこなかった。
だから今度は、私のほうから身を引くことにした。