梅里雪山の伝説は、チベット文化圏で特に深く根付いた霊山信仰の象徴です。カワカブと呼ばれるこの山々は、神々が住まう聖地として
崇められ、地元の人々にとっては単なる自然の風景ではなく、生きた信仰の対象です。『転山』という巡礼行為は、信者が山の周囲を歩くことで功徳を積む伝統で、苦行を通じて精神的な浄化を求めるんです。
ある古老から聞いた話では、1991年の山岳事故で亡くなった登山隊への言及は地元ではタブー視されています。『神の領域を侵した罰』と解釈する人が多く、自然への畏敬の念がどれほど強いかが分かります。山頂に登るのではなく、遠くから拝むことが美徳とされる価値観は、現代の登山文化とは対照的ですね。