払拭できない、婚姻の色西園寺澪(さいおんじ みお)と神崎凛也(かんざき りんや)が離婚したころ、誰かが凛也に聞いた。
「ほんとにそれで終わり?後悔しないのか」
黒いシャツにスラックス。両手をポケットに突っ込んだまま、凛也はだるそうに肩をすくめた。
「もともと政略結婚だろ。後悔とか、そういう話じゃない」
そう言っていたのに。
それからしばらくして。ある夜のパーティーで。
酔いに任せた凛也が、ホテルのバルコニーで澪を壁際に追い込んだ。逃げ道をふさぐように距離を詰め、唇をねだるように顔を寄せる。
大きな手が澪の腰をすべり、ゆっくり下へ。引き寄せられるまま、その長い脚が腰に絡む。
凛也は耳もとで甘くささやいた。あやすみたいに、ずるい声で。
「澪。もういちど、結婚しないか」