特に日本語の『大方』のような言葉は文脈によって『generally』『mostly』『roughly』と訳し分けられる。最近読んだ小説で『大方の予想は外れた』という表現が『Most expectations were betrayed』と訳されていたが、ここでの『大方』には『大多数』という意味合いが込められていた。
翻訳者にとって難しいのは、こうした多義語をターゲット言語の読者にどう伝えるかだ。字幕翻訳では簡潔さが求められるため『大体』を『about』と訳すこともあるが、文学翻訳では『for the most part』と丁寧に訳出する場合もある。言葉の持つ輪郭をどう再構築するかが腕の見せ所だろう。
英語で「おおぜい」を表現する際、最もよく使われるのは'a crowd of people'だ。ニュアンスとしては、物理的に密集した集団を指すことが多く、コンサート会場や駅の混雑など具体的なシーンを連想させる。
似た表現で'a multitude'はやや文語的で、数の多さに焦点を当てる時に使われる。聖書の翻訳や文学作品で見かけることが多い印象だ。例えば『指輪物語』の翻訳で「a multitude of orcs」といった表現が使われていたのを覚えている。
日常会話では'tons of people'や'lots of people'といったカジュアルな言い回しもよく耳にする。特に若者同士の会話では、'There were tons of people at the festival yesterday'のように使われ、数字の正確さよりも賑やかな雰囲気を伝えるのに適している。