特に日本語の『大方』のような言葉は文脈によって『generally』『mostly』『roughly』と訳し分けられる。最近読んだ小説で『大方の予想は外れた』という表現が『Most expectations were betrayed』と訳されていたが、ここでの『大方』には『大多数』という意味合いが込められていた。
翻訳者にとって難しいのは、こうした多義語をターゲット言語の読者にどう伝えるかだ。字幕翻訳では簡潔さが求められるため『大体』を『about』と訳すこともあるが、文学翻訳では『for the most part』と丁寧に訳出する場合もある。言葉の持つ輪郭をどう再構築するかが腕の見せ所だろう。