로그인かつて大地には、高度な文明を築き栄えた国があった。 科学者達は、長く続く争いを無くそうと人々の善と悪の思念を制御する研究を続けてきた。 そしてついに、それらを別の空間に蓄積し隔離する術を生み出した。 しかし、その思念は人の手に負えぬほど膨張、暴走し、二つの異なる次元は全ての生命を飲み込んだ。 二つの次元はそれぞれ「魔」と「天」と呼ばれた。 魔と天のコメディバトルここにあり!
더 보기「我が呪いの秘術をよくぞ打ち破った。さすがだぞルーテ」 魔導師は誇らしげに言った。「……わたしの名前はセーラよ。お父さん…」「父と呼ぶか」「名前を知らないですもの」「ハッハッハ…」 魔導師は表情を変えず続けた。「我らに名前などは無い」「……本当は貴方と戦いたくない、けど、わたしは貴方を……倒さなくちゃならない」「そうだ、お前の秘めた真の力を我に見せてみよ」「行きます!」 セーラは四枚の翼を羽ばたかせ超スピードで魔導師に突っ込んだ。 セーラの輝く身体の周りには光虫が飛び回っている。 魔導師は暗黒魔法を唱えた。«フォビドゥン» ドロドロとした瘴気の塊がセーラを襲う。 しかし光虫の展開する結界で無効化される。 セーラは魔導師の身体へ天使の鉞を打ち下ろした。 黒球の中の魔導師のマントを切り裂く。「お前は我の一部から生まれた、そのお前が我を滅ぼせばどうなるか、わかるか?」 魔導師の黒球がぼやけ崩れ出す。「お前も共に滅びるのだ」「……」「例えそうだとしても」 セーラは再び鉞による打撃を魔導師に加える。「わたしは貴方を討つわ!」 セーラの攻撃に魔導師の干からびた片腕が吹き飛ぶ。 光の追加効果が魔導師の再生能力を奪う。 魔導師は、セーラの素早い打撃を躱せず、両脚、あばら骨、内蔵と次々にその身体を失ってゆく。 顔だけになっても空中に浮かびながら語りかけをやめない魔導師。 その様を見て嘔吐するセーラ。「オェぇぇ…気持ち悪い。死なない、どういうこと……」「そのような…方法では、滅びはせぬ」「くっ…どうすれば」「ルーテよ、共に、我が創り上げた…神と同化、するのだ…」「冗談じゃないわ!」 魔導師の頭部は神と呼ばれた異形の巨大生物と融合しかかっていた。「オレ達だってサポートはできる!」 カイは攻撃力上昇の魔法をセーラに唱えた。「私もよ」 マリアはヒールをセーラにかけまくる。「駄目、引っ張られる…!」 セーラの身体も魔導師と共に異形の神に取り込まれてゆく。「セーラ!!」 マリアが叫ぶ。「吸収されちまった…セーラが」 カイが呆然と見つめる。 セーラの身体は、魔導師の纏う黒球と共に歪みぼやけ、やがて完全に溶けて消えた。 異形のお父様の体内。「ここが、本体ね……」 吸収された他の天使や魔物の亡骸を次々
「リセット?」 カイが怪訝そうに繰り返した。「簡単に言えば、修正すべき事象が起きる"前"まで時間が戻るということだ。 その間に生まれたものは存在しなくなり、無くなったものは復活する」「アレフが生き返るってこと!?」 楽観的なマリアは手を叩いて喜ぶ。「どこまで戻るかは神のみぞ知る…必ずしも我々にとって都合が良い結果になるとは限らない。 それにアレフが死んだ事実も無くなるのだ」「あぁ~頭がこんがらがってきた」「全てをリセットしたくなること、あるよな」「それが神様の御業……?」「つまりやり直しってことや」「横暴やな」(……セーラ)「誰かがセーラを呼んでる……」「そうだわ、わたしには成すべきことがあったんだ」「セーラ?」「ごめんねマリア。わたし行ってくるね」「えっ…どこに? 帰ってきたばかりなのに」「まだ魔族は生きてる。倒さなくちゃ」「いやいやっ! もうどこにも行かないで。どうしてセーラが戦わなくちゃいけないの」 駄々を捏ねるマリア。「絶対戻ってくるから。約束」 優しく声をかけるセーラ。「やだ! あたしも行くから!」 マリアは涙に鼻水を垂らしながらセーラの服の裾を掴んだ。「オレも行くぜ」 カイが臆せずに続く。「オルドさんは?」「行かない」「チキン天使長…」「私にはここを護る責任があるのだ!」「だから、守れてないやないか」「もうっ。みんなしょうがないなぁ」 セーラは根負けして四枚の翼を羽ばたかせる。 マリアとカイがセーラの身体に抱きつき、バヒュンと音を立て空高く飛んでいく。 見上げるオルドは、眩しい陽光に目を細めながら心の中で呟いた。「さらば、神に翻弄されたる心優しき天使よ」◆ ヘルキャッスル跡地には小さな空洞ができていた。 空洞は異次元空間になっており、中の壁は臓物のように蠢いていた。 奥で待っていたのは、横たわる異形の魔生物とその上に座る魔導師だけであった。 「遅かったな、ルーテ…」「……」「魔導師…」「一人か?」 ─── セーラたちが訪れる数時間前。 魔導師はお父様の回復と、更なるパワーアップのために騎士たちを使おうと考えた。 今なら二匹とも手負い。抑え込むのはそう難くない。「この前の恨みか?」 騎士は薄笑いを浮かべて言った。「ガル……貴様、乱心したのか」
二つの浮遊大陸における天使の軍団と闇の魔導師たちの戦いは熾烈を極めた。 しかし、無限に増殖する魔物に押され、天使たちの勢力は少しずつ減っていった。 最後に残った能天使パワーは天を仰いだ。「先の大戦と同じか。しかし蘇生を行える天使はもういない」 そして最後の天使パワーは獅子の魔物と対峙した。 獅子の四つ腕の爪が大きく変形し、縦横に延びて次々と地面に刺さり、獲物を逃がさないよう囲った。 パワーはその身に残っている全聖光気を解放した。«ディスピアード・レイ» 凄まじい質量を持った光の槍が、獅子の形成した爪の檻を突き破ってその腕二本を貫き、もぎ取った。 その間隙を縫って黄金の騎士が、光速の斬撃でパワーの身体をズタズタに斬り裂いた。 獅子と相打ちの形で最後の天使パワーは息絶えた。「手こずったな」「グルル……なぁに、これくらいの傷」 異形の魔生物は身体が変形し、崩壊しかかっていた。 魔導師が必死で回復を試みているが、天使の何体かは身体から分離して消滅してしまっていた。「やはり早かったな……作り直しだ」 魔導師は負傷した獅子たちのほうを振り返った。◆ セーラは悪の尖兵として、天使たちと戦いながらも、分裂した天の魂は夢を見ていた。 天使の鉞、アイギスの鎧、天空竜の兜、エデンの盾……天界の装備に身を包んだ勇ましい自分の姿。 そしていつも隣に有った碧い珠、今は暗い灰色となった珠を握りしめた。 珠は輝きを取り戻しセーラを三度、目覚めさせる。 視界に広がった場所は遥か天空の頂上付近であった。 セーラは夢で見ていたその二対四枚の翼で宙を羽ばたき飛んでいた。 地上を見下ろすとどこもかしこも戦争をしていた。 カイやマリア、それにオルドも、魔物たちと戦っている。「わたしだって天使だ! 加勢に行かなくちゃ」 そうセーラが意気込むと、どこからか声が聞こえてきた。「君にはやることがある」 声の主は姿を見せず、小さな羽虫がセーラの周囲を飛んでいた。「セーラね」「誰ですか? 虫さん?」「君を呪いから解き放ち再生したもの」「再生? じゃあわたし一度死んだの? あなたは…神様ですか?」「私は神ではないよ。君は死してなお、新しい命を持てる器だったんだ」 よく分からない話よりも、セーラは早くマリアたちのところへ飛んで行きたかった。「君がいま
私たちは用意された舞台で踊ることしか出来ない。 いわゆる箱庭ゲームをプレイする存在があるとするならば、それはつまり神である。 その存在はゲームに登場するキャラクターを操作し、パラメータや行動を決め、その人生を創る。 生かすも殺すも自由に、全ての運命は移ろいゆく。(オルドの記述を鑑みて考察するに、厳重な管理体制の下でプレイされている、と仮定する) オルドが異常に気付いたのは、およそ300年ほど前、目の前に起こった事象に端を発している。 突如、自分以外のデータが全てリセットされ、世界がそれまでとどこか違ったものに変わっていた。 オルドはその微細な変化を見逃さなかった。 彼はその変化を神の御業と結論づけた、彼にとっての神は、何者かであり、別次元の、偉大でもなんでもない存在、その所業が行なわれる直前にあった事、それは、深淵なる異物が神のシステムに干渉を試みた、いわば本の登場人物が読み手に何らかの物理的な干渉を成功させた、変化はその結果である。 いま、光り輝く天使の装備に身を包み、二対四枚の翼を持った霊体が、その使命を果たさんとしている。 魔と天は互いに殺し合い、人はその争いに巻き込まれ、地上から消滅してゆく。 二対四枚の翼を持った天使はこの世界の理の全てを超越した場所にいた……。
一行は梵天の鏡を取りに王家の塔を上って行った。 確かに現れる魔物たちは手強い。 五階建ての塔の最上階が果てしなく遠く感じられた。 そんな中、セーラは新しい呪文を覚えた気がした。 頭の中に浮かんだ呪文を唱えてみるが、何も起こらなかった。 どうやら気のせいらしい。 セーラは特に気にしなかった。 さてあっさりと梵天の鏡を手に入れ、一行は王の下へ戻る。 鏡を渡すと王はセーラたちを褒めたたえた。 そして鏡を兵士長に渡しマネモルを退治するよう命じた。 梵天の鏡で元の姿に戻されたマネモルたちは次々と兵士たちに倒されていく。 たとえ魔物といえども、何の危害も加えていないものたちが倒さ
湖より奥の森の中でバルガは悩んでいた。香箱座りの前足を何度も何度も出し入れしてはいつまでも決断が出来ずにいた。 娘の居所は怨塊目玉の報告により掴んだ。確かに生きていた。与えた傷すらまるで無かったかの如くピンピンしていた。 重度の火傷と凍傷。人間の治癒力で元通りに治る怪我ではない。 我が主ヘドロスライム様は娘を生け捕りにして来いと命じられた。 今度失敗すれば無事ですむはずがなく、恐らく命はない。 主様のお考えは恐らく自らがスライムとして初の魔王となる事。 だがいかに我が主様でも他の幹部と正面から戦って勝ち目は一分もない。主様自身そう話されていた。 幹部たちの戦闘を一度だけ見た
夜が明け、雨は止んでいた。 マリアとアレフは一晩中セーラを探したが、見つけることはできなかった。 そのためいったん宿に戻り、休むことにした。 どこか見知らぬ場所で、セーラは目を覚ました。 起き上がろうとすると、声をかけられる。「もうよいのか」「あ、あなたは街で会ったおじい! もしかしてあなたが助けてくれたのですか? どうもありがとうございました」「うむ、わしゃオルドという者じゃ。それよりどうしたというのじゃ。夜中に雨の中を一人で出歩くとは」「あの……それは……」「言いたくなければ言わんでもよい。ところでお主が持っている珠を見せてくれんかのう」「これですか?」「おおそれじ
アルメリアの教会では神父によって治療を受けているセーラを村人たちが取り囲んでいた。 幸運にも軽傷ですんだアレフがカイに話しかけた。「誰も装備できなかった斧をセーラが使えるなんてな」「確かにセーラは村の救い主だよ。しかし、親父たちもジムラ様ももう戻らない」「とにかく早くこの村を出なければならん。またいつ魔物が襲ってくるかわからんからな」「俺は村を離れるつもりはないよ、アレフ」「馬鹿なことを言うな! 殺されるのを待つつもりか?」「まだマリアの意識が戻っていない。それにこの村は俺たち三人が生まれ育った大切な故郷だ。俺にとっての全てだ」「マリアは担いでいけばいい。今の俺たちの力はあい