風の行方、霧の果て帰国した外科医、霧島怜(きりしま れい)は同僚と片手で心臓バイパス手術を成功させられるか賭けをした。
結果、手術は失敗した。
怜は自らの面目を失ったと感じ、その場でメスを投げ捨て手術室を飛び出した。
湊詩織(みなと しおり)の母は彼女のミスによって昏睡状態に陥り、植物人間となった。
詩織の兄、湊海斗(みなと かいと)は弁護士として怜を告訴したが、わずか二日で弁護士資格を剥奪され、偽証罪、贈賄罪、名誉毀損罪など複数の罪で刑務所に送られ、懲役三年という迅速な判決が下された。
詩織が実名で告発すると、彼女の個人情報がネットに晒され、炎上の標的となった。
そしてこの一連の出来事を裏で操っていたのは、詩織が七年前に結婚した夫であり、帝都の全てを掌握する男——鷹司雅臣(たかつかさ まさおみ)だった。