千夜一夜に囚われて~語りの檻と王の夜明け砂漠の王宮に響く、夜ごとの語り。
「愛すれば死ぬ」という呪いを背負う孤独な王と、兄の死の影を纏った語り部――互いに満たされぬ心を抱えながらも、ふたりは夜ごと現実と寓話のあわいで心と身体を重ね合う。
果たして、過去と痛み、赦しと自己犠牲の連鎖を超えて、人は“ただ一人の自分”として誰かを愛することができるのか?
物語ることでしか近づけなかったふたりが、やがて“語り部”と“王”という役割を超え、本当の自分として対等に向き合う瞬間――
幻想と現実、官能と再生が交錯するこの王宮で、彼らはどんな結末にたどり着くのか。
静かな絶望の先に見える、ほのかな夜明け。
心を揺さぶる再生のドラマが、いま幕を開けます。