洪水に沈んだ家族の愛家族と海外旅行に来ていたとき、突然大きな洪水に巻き込まれた。
私――江ノ上浅乃(えのうえ あさの)の婚約者、宍戸言人(ししど ことひと)は、足の悪い妹・江ノ上葉菜(えのうえ はな)を背負ったまま、私のことなど一度も振り返らずに外へ走り去った。
両親は私のことには構いもしないで、葉菜に買ったばかりのインコだけはしっかり連れて行った。
彼らはその夜のうちに急いで帰国し、家族のグループラインでは「本当にみんな無事でよかった」と、生き延びたことを互いに喜び合っていた。
でも、その中に私のことは入っていなかった。
長女の私は、そのときまだ洪水の中で一人取り残されていた。
目を覚ました私は、迷わず恩師に電話をかけた。
「先生、国境なき医師団に付いていきたいんです……もう二度とここには戻りません」