さよならの後の永遠6年前、私は田村グループのお嬢様だった。石田竜也(いしだ たつや)は、私が学費援助という名目で自分のそばに置いていた貧しい学生にすぎなかった。
しかし今や彼は名の知れた弁護士となり、私はたった1000万円をめぐって姑と泥沼の争いをしている。
「石田先生、この女はうちの息子と結婚する前から子どもを妊娠していました。息子を騙して結婚したんです!彼女がお金を払わないなら、払うまで彼女の娘をうちにいてもらいます!」
頭の中はぐちゃぐちゃで、痩せ細った手ではペンを握る力さえ失われそうだった。
「結婚前から誠にはきちんと話していました。子どもに父親がいる家庭を作ってあげるためで、名ばかりの結婚だと。それに、一定額のお金も渡しました……」
「息子が死んだのをいいことに、この老婆を侮辱する気か!石田先生、この女は、かつて京市で悪名高かった田村グループの娘なんですよ!」
「もうこれ以上はお話しになりません」
調停委員は聞くに堪えない言葉に姑を退席させ、竜也にすべてを委ねた。
静まり返った空気の中、私と竜也だけが向かい合って座っていた。