先生が夫の配偶者は私ではないと告げた息子、綾瀬翔太(あやせ しょうた)の超名門インターナショナルスクール入学枠のために、丸一年かけて準備してきた。
最終的な入学審査日。全ての書類は揃い、あとは家族の戸籍謄本さえあれば、入学が確定するはずだった。
ところが、入学事務室に着くやいなや、蒼真は私が勝手に手続きに来たことを咎めた。
私が言い返そうとした瞬間、職員が奇妙な顔で口を開いた。「奥様、システム上、綾瀬様の配偶者様は別の方でございます」
全身の血の気が一瞬にして引いた。
私が反応する間もなく、夫の綾瀬蒼真(あやせ あおと)の後ろでずっと黙っていた藤崎麗華(ふじさき れいか)が、自分の戸籍謄本を差し出した。
職員は確認後、頷いた。「申し込みは七年前の六月ですね。これで手続きを進められます」
七年前の六月。
その日は、まさに私と蒼真の婚約披露宴だった。
彼は来場のお客様の前で私の手を握り、「君こそが、この人生で唯一の愛しい人だ」と告げた。
その一言で、私は七年間も欺かれ続けていたのだ。