腐れ縁の終着点実家が破産したあの年、私は小寺山彰良(こてらやま あきら)にまとわりついて最後の一夜を共にした。
目が覚めた後、私は最後の手持ちの金を彰良に叩きつけた。
「さあ、これを持って別の金持ちの女のところへでも行きなさいよ。私みたいなブスを、嫌々あやしてやる必要もなくなったんだから」
私は資産の差し押さえに来た連中に家から追い出され、顔の大きなアザを誰もが指さして嘲笑した。
一方で、彰良の友人たちは彼の新たな生活の門出を祝福している。
「彰良ほどの顔があれば、金持ちの可愛い子がいくらでも群がってくるさ。あんなブスに安売りしてやる必要なんて、まったくなかったんだ」
「彼女も破産したことだし、これでもう付きまとわれることもないだろう」
五年後、彰良は貧しいイケメン大学生から、ビジネス界の風雲児へと変貌を遂げていた。
面接会場で、彼が私の履歴書をめくっていると、その視線が写真のところで止まった。
彼は淡々と口を開いた。
「28歳……すでに子どもがいるのか?」
私は彼の探るような視線を受け止め、自己紹介をした。
「はい、稲崎舞華(いなざき まいか)と申します。既婚で、娘が一人おります」
今の私は名前を変え、顔を覆っていた大きなアザも消した。
彰良は、私が誰であるかに気づかなかった。