十年の夢が終わった夫である三木雲翔(みき ゆきと)は本命彼女である東山蛍瑠(ひがしやま ほたる)に私たちの結婚式を見届けさせることを頑なに主張した。
式が新婦入場の段階に差し掛かった時、雲翔は突然、3分間の休憩を要求した。
そして、客席から白いドレスを着た蛍瑠を引き上げた。
すべてのゲストの前で、手をつないで赤い絨毯を歩いた。
彼は言った。「俺は蛍瑠に約束したんだ。必ず彼女と一緒に一度結婚式の赤い絨毯を歩くって」
蛍瑠は涙を流しながら雲翔の胸に飛び込んで、義理の両親に向かって言った。
「お義父さん、お義母さん、この人生で雲翔の嫁になるチャンスはないけど、それでもお義父さん、お義母さんと呼びたいです」
そう言うと、彼女は雲翔と熱烈にキスを交わし、離れがたそうだった。
会場は一斉にざわめき、誰もが私の失態を待ちわびてひそひそ話している。
だが、私は笑顔でドアを開け、白いヴェールを引き下ろしてから、蛍瑠の頭にかぶせた。
「雲翔の嫁になるチャンスがないって?そんなにクズ男が好きなら、今すぐあなたにあげるわ」