委ねた痛みは刃に変わる誰もが知っていた。私・神宮寺夏帆(じんぐじ かほ)は柏原彰人(かしわら あきと)の逆鱗だった。
私に何かあれば、彰人は相手に食ってかかるような人だった。
「十年ずっと君が好きだった。やっと想いが叶った」
「結婚したら、絶対に幸せにする。何があっても、君のそばを離れない」
けれど結婚三周年の記念日に、私は偶然、婚姻届受理証明書そのものが偽造だったことを知った。
不審に思って役所の窓口で確認してもらうと、担当者は事務的な口調でこう告げた。
「システム上では、柏原様は三年前の11月23日に、すでに婚姻届を提出されています」
その瞬間、私は凍りついた。
私たちが婚姻届を出したのは、11月22日のはずだった。