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先日読んだ時代小説で、こんな使い方をしていました。「刀鍛冶としての腕は評判高く、注文は引く手数多だった」。この場合、単に依頼が多いだけでなく、その技術が高く評価されていることが伝わってきます。
現代でも格式ある分野で使える表現で、例えば『伝統工芸の職人として引く手数多の存在』とか。ただしカジュアルな会話で使うと堅苦しく聞こえるので、書き言葉や改まった場面向きですね。
この表現に出会ったのは大学生のとき、古典文学の授業で源氏物語を読んでいた時でした。『引く手数多』という言葉が登場人物の評判を表すのに使われていて、すごく印象的だったんです。
現代風に言えば「引っ張りだこ」みたいなニュアンスで、多くの人から求められている様子を指します。例えば『あのイラストレーターはSNSで話題になってから、仕事の依頼が引く手数多だ』とか。ちょっと古風な言い回しですが、和風の作品や時代小説なんかだと今でもよく見かけますね。
町の古本屋で見つけた昭和初期の雑誌に、面白い使い方が載っていました。「当時この花魁は引く手数多で、一日に何十人もの客が訪れた」という文章。ここでは人気の高さと需要の多さを同時に表現しているんですよね。
最近だと『あのベテラン声優は引く手数多の状態が続いている』みたいな使い方ができます。特に伝統や格式を重んじる世界で、重宝される人材を形容するのにぴったり。ただ若い人に使うと少し違和感があるかも。
歌舞伎を見に行った時に、案内冊子に書いてあった用例が秀逸でした。「当代の名優は諸大名から引く手数多であった」という一文。これって現代語に置き換えると「引っ張りだこ」とか「多くのオファーが殺到している」って感じでしょう。
面白いのは、この表現が単なる人気以上に「選ばれし者」的なニュアンスを含むところ。例えば『この分野の専門家として彼は引く手数多の存在だ』と言えば、単に忙しいだけでなく、その価値を認められている含みが出ます。