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有終の美」という言葉を聞くと、真っ先に思い浮かぶのは『鋼の錬金術師』の最終回だ。エドワードとアルフォンスの旅路が完結する瞬間、全ての伏線が回収され、キャラクターたちの成長が鮮やかに描かれる。
この作品のように、長い物語が矛盾なく締めくくられ、読者や視聴者に満足感を与えるのが「有終の美」の本質だと思う。特にシリーズ物の場合、途中で設定がぶれたりキャラクターが崩れたりせず、最初から最後まで一貫性を保つのは至難の業。『進撃の巨人』の最終章について賛否両論あるが、作者が最初から構想していたという点では、ある種の有終の美と言えるかもしれない。
良い結末とは単にハッピーエンドというわけではなく、物語のテーマに沿った適切な終わり方だ。『3月のライオン』のように、主要なキャラクターたちがそれぞれの道を歩み始めるオープンエンドも、彼らの成長を考えると非常に美しい終わり方だと感じた。