「窺える」を使った有名な文学作品のセリフを教えて

2026-01-02 03:01:17 53

4 Answers

Jasmine
Jasmine
2026-01-03 16:53:26
三島由紀夫の『金閣寺』にも「窺える」の秀逸な使用例があります。「彼の目には金閣の美しさに対する一種の妄執が窺えた」という一文。ここでは主人公の変容する心理と、彼が抱える金閣への異常な執着が、たった一つの動詞で鮮やかに描き出されています。

この作品全体に通底する「美への渇望」と「破壊衝動」というテーマが、些細な表情や仕草から「窺える」という表現によって読者に伝わってくるのです。三島文学の特徴である絢爛たる文体と心理描写の鋭さが、この単語一つに凝縮されていると言えます。
Ethan
Ethan
2026-01-04 07:22:02
『斜陽』で太宰治が「母の微笑みからは、もう以前のような力強い生命力は窺えなかった」と書いた箇所があります。戦後という時代の変化と没落貴族の悲哀が、この「窺える」という表現に込められているのです。

太宰らしい繊細な感性が光るこの描写は、登場人物の内面と外見の微妙なズレを表現するのに見事に成功しています。とりわけ没落していく階級の人々を描く際に、直接的な表現ではなく「窺える」のような間接的な言葉を使うことで、かえって深い哀愁を醸し出しているのが特徴的です。
Hazel
Hazel
2026-01-05 16:44:00
森鴎外の『高瀬舟』に「喜助の顔には、弟を思う真情が窺えるようであった」という一文があります。この作品が扱う安楽死という重いテーマの中で、この表現は兄弟の絆を静かに、しかし力強く伝えています。

鴎外の簡潔でありながら深みのある文体が、この「窺える」という言葉によってさらに際立っています。当時の文語体と口語体の過渡期ならではの言葉の選び方が、現代の私たちにも強い印象を与えてくれるのです。
Robert
Robert
2026-01-07 17:08:38
夏目漱石の『こころ』で印象的な表現があります。「先生の態度には何か私に教えようとする意思が窺えるような気がした」という箇所。この「窺える」は、登場人物の微妙な心理の揺れを見事に表現しています。

漱石は言葉の選択に非常に神経を使う作家で、この表現も主人公の不安と期待が混ざった複雑な心情を伝えるのにぴったり。『こころ』全体を通じて、登場人物たちの本心が表面には出てこない中で、こうした言葉遣いが人間関係の機微を浮き彫りにしています。特に明治時代の知識人同士の会話では、直接的な表現を避ける傾向があったため、このような間接的な表現が重要な役割を果たしていました。
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