あの『ライ麦畑でつかまえて』のホールデン・コーンフィールドは、現代文学における『背く』少年の原型かもしれない。偽善的な大人たちに反発しながら、純粋さを守ろうとする姿は、今読んでも色褪せない。
学校を追い出され、ニューヨークを
彷徨う三日間の描写が特に秀逸だ。誰もが通り過ぎてしまうような日常の風景を、歪んだレンズを通して見せる語り口がこの作品の魅力。ホールデンの「みんな偽物だ」という台詞は、世代を超えて共感を呼ぶ。
最後の場面で弟のアリーに思いを馳せるシーンは、反抗の先にある脆さを描き出している。無軌道に見える行動の裏側にある、傷つきやすい少年の心情が伝わってくる。