『羅生門』の下人が最後に選んだ行動の意味を解説してください。

2026-01-18 15:52:52 168

3 回答

Wyatt
Wyatt
2026-01-20 16:20:39
老婆の髪を抜き取るという衝撃的な結末には、当時の社会構造への批判が隠されている。下人はもともと善悪の判断ができる人物だったが、社会から切り捨てられたことで逆転的な倫理観を構築していく。

このシーンを『他者を傷つけることで自分を正当化する心理』として読むと面白い。下人にとって老婆は単なる犠牲者ではなく、自分と同じ『弱肉強食の倫理』に気づかせる存在だった。着物を奪う行為自体よりも、その直前に交わされる『お前の罪を棚に上げて』という言葉の方が重要だ。

雨が上がった羅生門から京都の町を見下ろす最後の描写は、新しい価値観で生き始めた下人の心境を暗示しているようで、現代の読者にも考えさせる余白を残している。
Isla
Isla
2026-01-21 20:39:10
あの結末を『人間の獣性の目覚め』と解釈するのが最もしっくりくる。飢えという原始的な欲求が、文明社会の倫理を剥ぎ取っていく過程が見事に表現されている。

特に注目すべきは、下人が老婆から奪ったのが金品ではなく『着物』だった点だ。これは単なる強奪ではなく、生きるための『皮膚』を奪う行為として描かれている。寒さと飢えという二重の生存危機が、彼の行動を駆動したことがわかる。

夜明け前に京都を去っていく描写には、堕落したというより、むしろ新しい現実認識を得た人間の姿が映し出されている。この短編が百年経っても色褪せないのは、こうした人間の根源的な問いを突きつけているからだろう。
Uriah
Uriah
2026-01-24 01:57:04
下人が最後にとった行動は、人間の本質的な生存本能と倫理観の葛藤を象徴している。飢えと貧困に追い詰められた末、老婆から衣類を奪う選択は、単なる犯罪以上の深みを持つ。

芥川龍之介はこのシーンを通じて、極限状況下で人間がどのように道徳的規範を捨て去るかを描き出す。下人の心理描写を追うと、最初は老婆を非難していた立場から、自分も同じ行為に及ぶまでの転換が痛切に伝わってくる。ここには『生きるためには悪もやむなし』というシニカルなメッセージが込められている。

興味深いのは、この選択が受動的ではなく能動的な『覚悟』として描かれている点だ。月明かりの中を歩き去る描写は、堕落したというよりむしろ新しい生存戦略を獲得した人間の姿を示唆している。
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5 回答2025-12-26 21:26:11
芥川龍之介が『羅生門』を書いた背景には、人間の本質に対する深い考察があったと思う。彼は平安時代の説話集『今昔物語集』を下敷きにしながら、極限状況下での人間のエゴイズムを描き出した。 当時の日本は大正デモクラシーの時代で、近代化が進む一方で人間の倫理観が揺らいでいた。そんな中で芥川は、飢饉や災害といった極限状況に置かれた時、人はどれほど簡単に道徳を捨てるのかを問うたのだ。下人が老婆の髪を剥ぐ行為を通じて、生きんがための悪がどこまで許容されるのかという普遍的なテーマを提示している。 この作品が今も読み継がれる理由は、どんな時代にも通じる人間の本質を鋭く描き切ったからだろう。
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