映像と音楽がぴたりと噛み合った瞬間に、胸がぎゅっとなることがある。『四月は君の嘘』で心を揺さぶられるのは、楽器の音が人物の内面と重なり合う場面だ。病と向き合いながらも演奏に全身を預ける描写、そしてそれを見守る周囲の表情が重なったとき、言葉では説明しきれない感情が湧き上がる。
僕はそれを初めて観たとき、画面の中にある音が自分の胸の中で増幅されるように感じた。音符一つひとつが誰かの記憶や後悔、希望を代弁しているようで、登場人物同士の関係性が演奏を通じて一刀両断にされる瞬間がある。技術的には音楽と映像の同期が素晴らしいだけでなく、演出が感情の細部を丁寧に拾っているからこそ、観客の
琴線に触れるのだと思う。
感動のスイッチが押される位置は人それぞれだが、僕にとっては表現が純粋に直球でぶつかってくる場面が特に響く。台詞ではなく音で伝えられるものの力を改めて思い知らされる、そんなシーンだった。